【食べるひと、作るひと】 「食べ物は“人”と同じ存在だと思います。」平井 萌さん【後編】

人はなぜ、食べるのか。
そしてなぜ、食べるものをつくるのか……。あまりに単純で、あらためて問うことすらためらうこの疑問。
でもじつは、その 答えはそれほど単純ではないのかもしれません。特集「食べるひと、つくるひと」では、
食をテーマに活動する人に焦点を当てて、
その人が、食にこだわる 背景にある”想い”や”ものがたり”に迫ります。

第一回〈前編〉に引き続き、お話を聞くのは、「“大好きなもの×何とかしたいこと”で社会を変える」
をテーマに、メロンパンを通してコンゴを支援する、
“メロンパニスト・ひらめ”こと
平井 萌(ひらい・めぐみ)さんです。

ひらめさんが、メロンパンに込める思いとは?
前編とあわせてご覧ください。

 

2回目のメロンパンフェス、見えてきたもの

――先日5月5日に行われた2回目のメロンパンフェスも大盛況だったようですね。ほぼソールドアウトとのことで。

ひらめ:おかげさまで。

――ただ来場者数が目標の1,000人に届かなかったことは、ちょっと悔やんでいたようですが。

ひらめ:ああ…1,000って決めなければ良かったんです。去年の1回目の来場者が目標の250人に対して300人くらいで、「来年は 1,000!」と言ってみたものの…数字で見すぎてしまっていたんですね。今思うと、もっとメロンパンひとつひとつを大切にすべきだったし、来てくださっ た方も「メロンパンを喜んでくれていたのだろうか?」とすごく心配になりました。

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――喜んでいなかったかもしれないと?

ひらめ:私としては、2回目だったので欲があったのかもしれないのですが、今回は失敗だったんじゃないかって、わりと思っています。

――失敗ですか。

ひらめ:去年は運営のメンバーが私の他2名で、全員の動きが常に目の届く範囲だったんです。今回は1,000人呼ぶということで、10人の方にス タッフとして関わっていただいたのですが、私が運営の仕方をまったく知らなかったので、どうしても組織作りのほうに時間がかかってしまって。3人の時は、 単純に「自分のできないところはお願いする」というかたちでよかったのですが、今回は事前にしっかり担当や配置決めが必要だったり、個人個人にやりたいこ とがあったりで…難しいなって思いました。

――時間をかけるべきは、そこではなかったと。「もっと、メロンパンひとつひとつを大切に」とはどういうことでしょうか。

ひらめ:今回も去年と同じ流れで、入場はフリーにして自分の好みのタイプや気になるお店の商品を買える、というかたちにしていたのですが、もっと違 う売り方もできたよな、と。例えば、お店の名前や種類はあえてふせて、その時の「気分」だけを基準にメロンパンを選べるようなかたちとか。実際に食べてみ るまでどんなものかはわからないけれど、その分素直にメロンパンのそのものの味や特徴を感じてもらえる…というような。

――なるほど。テーマを表現しきれなかったと感じた部分があったのですね。

ひらめ:今回は「メロンパン自体の良さを伝える」っていうコンセプトだったんですけど、それに合うイベントじゃなかったなって。もったいなかったな、と反省しました。

 

気負わず“無意識”に支援ができるように

――メロンパンでコンゴを救うことについて、社会にとって「良い物だから買う、ではなく買ったらいい物だったでまわる世界にした い」「無意識に誰もが社会貢献できる仕組みを作りたい」と話していましたね。よく耳にする「社会貢献になるものを選んで買う」エシカルなどとは違う考え方 なのでしょうか。

ひらめ:メロンパンを買うかたちだけでなく、メロンパンフェスで直接的にコンゴの問題を伝えていくことで、将来日本で紛争鉱物を使っていないスマホ が発売されたときに「あ、これ紛争鉱物を使ってないからこれを買おう」という選択につながればいいな、とも考えているので、エシカルのように「選んで買 う」意識や商品は必要だと思います。でもやっぱり無意識に買えればもっといいなとは思うんです。

――ええ。

ひらめ:社会貢献は、その人の生活に応じてするものというか…。困っている人のために行動したい、と思っても、自分の生活で精一杯な人、経済的、時 間的に余裕がない人は、現地に行ったりお金を集めたりする方法は難しい。そんな何かしたいけれど何をしたらいいかわからないという人とって、エシカル商品 などを「買う」という身近な支援の道があるのはとてもいいなと思います。そういう何かをしたい人、そこからさらに社会問題に興味のない人でも、もっと無意 識に気負わず支援に参加できる仕組み、ということがメロンパンを通じてできればという感じです。

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――やはりそういうボランティア的な側面からも、色々検討したのですね。

ひらめ:メロンパンフェスでは、コンゴについての展示や催しも行っていますが、最初からいきなりそういうお話をしても、やっぱり他人事になってしま うと思うんです。社会貢献とか問題に関心が薄く、メロンパン目的で来場してくれた方も、買えば支援した当事者になるので、「あなたは既にしていますよ」と 後からコンゴの問題についてお話したほうが、自分のこととしてすんなり受け入れてもらえると思ったので。

――メロンパンフェスの活動以前にも、「コンゴ・ウィーク・ジャパン」というコンゴを支援する団体を主催していたとのことですが、二つの活動で一番の違いはなんでしょうか?

ひらめ:「コンゴ・ウィーク」のときには、コンゴだけのイベントを2回やったんですが、元々そういう分野にある程度関心のある人が集まってくださっ たという状態でした。今メロンパンフェスの会場には社会貢献や問題に興味を持っていなかったような、私が本当に「伝えたい方」も来てくださっているな、と いうことが実感としてあります。

――それは素晴らしいですね!

ひらめ:今回はメロンパンを楽しみに来てくれた中学生、高校生もいて、前の伝え方では絶対興味を持ってもらえなかったような人が足を運んでくれて、すごく嬉しかったです。

 

誰がなんと言おうと「こうする」

――以前のインタビューで、座右の銘は「何もかもはできないけれど、何かはできる」だと話していましたね。今の心境はいかがでしょうか。

ひらめ:「何かできている」という実感はあまりないんです。活動当初のことなのですが、クラウドファンディングの内容をwebで公開したときに、も のすごくコメントが沢山ついてしまったらしくて、私は全然知らなかったんですけど。たまたま他の人に言われて見たら結構批判されるコメントが多かったんで す。「現地に行って自分の手を汚さずに社会貢献している気になっている女」っていうふうなことが書いてあって。

――なかなか厳しい言葉ですね…。

ひらめ:でもそれもその通りだなって。身近な人達はみんな応援してくれているので、一般的な視点ていうのが全然わからなかったんですけど、それでも 自分は、このメロンパンを通じてコンゴの事を伝えていく、というのは変えずにいきたいなって。今は、中学生の時に先生に言われた「自信でなくて信念を持 て」っていう言葉に立ち返って――この先も自信はできたり崩れたりの繰り返しだと思うんですけど、でも誰が何と言おうと「こうする」っていう気持ちはずっ と持っていなきゃな、と感じています。

 

“食”は“人”

――ひらめさんにとって「食」とはなんでしょうか?

ひらめ:メロンパンにしろ、はんぺんにしろ、魚肉ソーセージにしろ、はじめて食べたときの瞬間ってものすごく衝撃的なんです。そういう出会いの大き さで言えば、食べ物は“人”と同じ存在だと思います。出会って、時間をおいてまた食べて、良さを確認できる。そういうところも。

――出会いによって、影響を受けて自分がかわったり、楽しみが増えたり…確かにひらめさんとメロンパンとの関係は、人と人との関係のようなところがありますよね。衝撃的な出会いの後、少し離れた時期もあって、それでもやっぱりメロンパンしかない!…という(笑)

ひらめ:本当に、人みたいですね(笑)

――最後に、ひらめさんの最終目標は?

ひらめ:私がそうだったように、知らない人は「メロンパンを食べる」という選択肢がないと思うんですけど、「今日何食べよう。あ、メロンパンにする?」という、誰にとっても日常の存在になってほしいですね。世界中の人に。

――おいしいメロンパンの普及が、コンゴ支援の力になっていくのですね。本日はありがとうございました。

 

※元記事URL(http://taberuseiji.com/2332

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