世界初の虫ラーメンは想像以上だった話

虫を食べる人も食べない人も、皆さんこんばんは!!!

突然ですが、皆さん普段、虫を食べてますか??

(I’m listening to your voice…)

・・・そうですか、接戦具合が半端ないですが、タッチの差で「食べてない派」が多いみたいですね!残念!!

でも丁度いいです。今日は、そんな「食べてない派」の皆さんに、どうか聞いて欲しいことがあるのですから。

いやいや、「美味いんだから虫を食え君たち!!」ってまくし立てる算段ではないですよ、安心してください。

ただ単に、昨夜、コオロギの生命200匹分のラーメンを味わう機会があったので、その時の話を少し、聞いて欲しいだけです。

安心するその味を、誠意を込めて創り上げた、素朴な二人のお話です。

ことの始まりはそう、地球を愛する二人の少年少女からのお誘いでした・・・

地球少年「ラーメンニッコウさんとコラボするよ。虫ラーメン出すからyou来ちゃいなよ」

僕「俺行っちゃう」

・・・ってだけだったんですけど。

いや本当に下調べなんてしていかなかったし、ただただ「ムシできない味、虫ラーメン」なんていうエッジの効いた謳い文句に誘われて行ったんです。

いや、正確に言うならば、エッジの効いた謳い文句が僕をエスコートしたのは、彦根のお店に着く前までのことだったのかもしれません。

実を言いますと、暖簾をくぐってから箸を割るまでのおもてなしは、嗅ぎ慣れたことのないコオロギ出汁の香りが、してくれたんです。

それはもう、不思議な香りと言って捨てるにはもったいないくらい、その全貌を解明したくなってしまうほど魅力的な匂いだったのです。


12235251_424575754415484_2108902327_o(繁盛する店内には、写真には写り込まない、魅力的な香りの帯が漂っている)

ちなみに、その日はちょうど、地球少年とのコラボ相手であるラーメンニッコウさんの10周年記念日だったみたいで、お店の前にはお祝いの花輪が並んでいたりしました。いやいや、その日を狙ってコラボを実施し、「コオロギラーメン」「コオロギ白湯」の2杯で勝負してくるなんて、店主さんも相当粋なお方ですね。

12231177_906149692773600_1824894831_n(暖簾を上げた瞬間、嗅ぎ慣れないものの、どこか安心する香りに引き寄せられ、なぜか髪をたくし上げる僕とメニュー板)

小さく纏まった待合スペースのテーブルの上には、なぜかキュートなはりねずみさんがいらっしゃいましたが、彼のことを話し出すと話があらぬ方向に行くので割愛します(うんこまで可愛かったからつい食ってしまったとは言えない)。

注文して、ラーメンはすぐに来ましたよ。

今日のために限定100食、試行錯誤を重ねたすえに、準備して待っててくれたんです。

冷めないうちに、いただきましょう。

 

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(熱々の丼にだくだくのスープ、黄みがかったモチモチ中太麺、きめ細やかなチャーシュー、可愛い白ネギ)

丼の中を一望する限りでは、これは、普通に美味しそうな普通の醤油ラーメンです。

立ち上る湯気と、光る背脂向こう側で、ちょうど醤油を焦がしたような、見慣れた色合いのスープが広がっています。

このスープにどっぷりと浸かる、少し黄みのかかった中太麺からは、噛まずとも分かるもちもち感が伝わってきます。

チャーシューは多分、豚肉ではないでしょう。見慣れた豚のそれと比べ、肉の繊維が段違いにきめ細かく、箸でつつくと、ずっしりとした弾力を感じることができます。大きさの割に重量感を発するこの肉は、かつては野を走った動物の筋肉だと思います。

全体をよくよく見てみますと、コオロギは全て出汁となっているようで、具としてお顔を拝見することはできません。でも、幾本かの触覚が、「実のところ主役は俺なんだ」と言わんばかりに、ダマになった背脂にひっついて浮かんでいたりします。

そして、白ネギはいつもの通り、ただそこに在るだけで、周りの食材を引き立てるスパイスに徹している。

 

一杯分の世界として、とても綺麗です。

「油をぶち込んで、豚骨の旨みと何かを足し算すればいい」という昨今のラーメン業界の風潮なんて目もくれず、控えめな、土地に根付いた食材たちが、自然にチームを組んで一杯分を完成させている。食べる前から、ご馳走様と言いたい気分です。

さあさあいい加減、スープを一口、飲みましょう。

レンゲ一杯分のスープからは、旨みと塩気と、なんだかまだ判然としない成分が湯気にのってきて、鼻腔を刺激します。

この焦げ茶はやっぱり、コオロギの色素からくるものらしいのですが、薄い茶墨を溶かしたような、灰汁のない、澄んだ色をしています。漆のような黒で覆われているコオロギは、じっくり煮出すと土の色を出すらしいのです。そして、お店の方によると、老舗仕込みの鶏白湯で、彼らの出汁を割っているみたいです。コオロギの茶だけでなく、鶏が出す、優しい乳白色も溶け込んでいることが、その時に分かりました。

黙って一杯飲みましょう。ずずず・・・・・

 

・・・・・そう、例えば、

秋の落葉を抱え込んだ土壌が、春の木洩れ日を浴びて、豊かになっていく。それを、熟練の農夫がゆっくりと、空気を軽く混ぜこんでいくように、耕していく。そんな、ゆったりとした優しさが溶け込んだ「土」なんてものが、この世の時系列に逆らって存在することができたら、こんな風味がするのかもしれないと、その時思いました。多分、僕の舌はその瞬間まで、本物のミネラルを味わったことがなかったのでしょう。混じりけのない本物をじっくり溶かしこんだスープは、レンゲにひとすくいの質量で、ここまでの描写を生み出しました。

 

ただただ、美味しい。コオロギ、グッジョブ。

虫ラーメンと聞いてエグミのある味を想像していた僕は、すっぱりと裏切られました。連れ立った友人も同じようなビックリした表情を浮かべていましたから、思ったことも一緒だったのでしょう。

友人A「普通に、美味しい・・・いや美味い!!!」

友人Debu「いやこれは確かに醤油ラーメンとは別物。しかし、もの凄すごい安心感のある味だ!!!よく分からんが、とにかく美味い!!」

僕「安心する味か・・・。ふと思ったんだけど、少し『土』の風味がするよね。美味しそうな土の風味が。」

友人A「土食ったことあるの?」

僕「ないけど、くさみのない、それでいて野生の味がする。」

友人Debu「クサミはないけど、クセになるね。」

友人A「それうまい。ラーメンも美味い。」

僕「黙って食べて。」

確かに、クサミはないけどクセになる味でした。

それは恐らく、このラーメンが、恐ろしいほど自然な味をもって存在しているからだと思います。

機械に加工されることを嫌う食材を用い、それらを無理なく組み合わせ、素晴らしく奇跡的なバランスで整えられた一杯の味!!

だって凄いですよ。あの肉は鹿肉だったんです。コオロギと鹿肉なんて、どう考えてもクセクセコンビなのにも関わらず、皆んながスッとたいらげてしまえるほどの味に落ち着いている。

どれだけの注意を払って、食材をフレッシュなままに扱って、一つの料理へと完成させたのでしょう。ここにもびっくりです。

もちもち中太麺だって、あっさりとしたスープと具との相性が良くて、飽きることなく完食しました。残ったスープは単体で味わい尽くしたかったので、替え玉はしませんでしたが(てか替え玉システムあったかな?ないかも。)

はい、話が長くなりましたが、虫ラーメンは、とても美味しかったです。

そんで、最後に一つ付け足すことがあるとすれば、虫ラーメンは、虫「と」ラーメンではなく、虫がその他全ての食材と溶け合った、素晴らしき一杯の虫ラーメンでした。

改めて、ごちそうさまです。

 

・・・とまあ、一つの経験として、良い時間を過ごすことができました。

何より、僕らは虫ラーメンを普通に、とても美味しく完食することができたです。

そして、今回のことを通じて、僕らは虫を、美味しく食べられることを知ったのです。

この喜びは、知の領域を開拓していく、ソクラテスの喜びと似ています。

 

僕らは虫を、美味しく食べた。ありがとう虫ラーメン。

 

12233181_424575764415483_2144587047_n(写真右から、地球少年・篠原祐太さん、ラーメンにっこう店長の西川さん、地球少年のパートナー・橋本遥さん)

そして最後に、そして、この記事で最も大切な部分なのですが、今回、美味しい虫ラーメンをこの世に出してくれた、

地球少年こと篠原祐太君に、僕の勝手な興味に基づいた3つの質問に答えていただきました。

以下の文章から、彼が、「虫を食すこと」をどのように捉えているのかが見てとれるかもしれません。

 

等身大の彼の思想を、是非、感じてみてください。

 

Q. 今回の企画趣旨と、虫ラーメン一杯に込めた思いを教えてください

虫を食べることで、食や昆虫に対してちょっとでも向き合ってほしい。と同時に、昆虫食や自然の溢れる魅力を伝えたい、食べるって何?生きるって何?など、生きていく上で真に大切なテーマを問い続けたい。そんな想いを持って企画させて頂きました。また、虫を食べる経験は自分の持つ先入観の大きさに気づく機会にもなります。その気づきは、食の範疇を超えて、生きていく上で様々な場面において、固定観念を打破し、挑戦する一歩を踏み出す力になると思います。そして、ゆくゆくは、昆虫が、食糧難や環境問題解決の鍵になる可能性さえある。そうなれば、一石三鳥ですし、昆虫食の可能性は限りなく大きい。そう強く確信しています。

国民食であるラーメンとコラボすることで、昆虫食に対する間口を広げ、ハードルは下がると考えています。一人でも多くの人に、昆虫を食べる機会をつくれたら、という強い想いを込めて、虫ラーメンを販売しています。

Q. 多くの日本人が事実として、虫を常食としていないと思いますが、これについてどう思いますか?

世界では、東南アジア、アフリカ諸国、中南米など、昆虫食が文化として根付いている地域もあります。決して珍しいわけでもない。ただ、日本では、イナゴの佃煮や蜂の子など一部を除くと、虫は馴染みのない食べ物かもしれません。その理由を一言で言うと、食べる必要がないから。虫を食べなくても魚や家畜を食すことで何ら問題なく生きていける。そして、魚や家畜と比べて、サイズも小さく広範囲に分布している虫を食べることは、効率の観点から賢明ではないでしょう。そして、そのことに負けず劣らず重要なのは、イメージの問題だと思います。人間には、食べ物を情報で食べている部分が多分にあると思います。文化人類学者のマーヴィン・ハリスが残した「わたしたちが昆虫を食べないのは、昆虫がきたならしく、吐き気をもよおすからではない。そうではなく、わたしたちは昆虫を食べないがゆえに、それはきたならしく、吐き気をもよおすものなのである」という言葉が全てを物語っていると思います。小さい頃から親を始めとする周囲の環境によって規定される食体験や食文化はそう簡単には揺らぎません。

Q. 今後の虫ラーメンの展望を教えてください

まずは今回のラーメンの反省から。目的は果たせたのか?伝えたいことを伝えられたのか? お客さんの声や周囲の方々の反応を見ながら、丁寧に振り返りたいです。とはいえ、今週末(14日15日)、東京の赤坂サカスにて虫ラーメンの販売が既に決まっているので、それに向けて全力で準備を進めます。

その後も、頭の中では様々な展開の仕方を描いてます。僕自身、虫ラーメンに対し、譲れない想いと確固たる信念を持っています。その想いには忠実にやっていきたい。ただ、ともすると、独りよがりになってしまうので、客観的な視点も忘れず、他人からの助言にも耳を傾けながら、謙虚に、真摯に、頑張って参ります。

今回は100食限定でしたが、今後もあらゆる可能性を否定せず取り組んでゆきます。新しいアイデアにも積極的に挑んでいきたいです。何かあれば気軽に僕に連絡して下さい。どんなアイデアでも検討します。いつでもお待ちしてます!

 

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地球少年」とは? 本名、篠原祐太

1994年、地球生まれの21歳。慶應義塾大学在学中。現在は、数千匹の生き物と同棲する傍ら、4歳から続ける「昆虫食」の可能性を探ると共に、イベント主催、虫料理ケータリング、授業、記事執筆、TV出演、登壇、SNSでの情報発信等により、その魅力を伝える活動に注力している。

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コオロギラーメンとは?

旨味の強い乾燥コオロギでダシを取り、絶品塩ダレを合わせて仕上げた逸品。

タンパク質、ビタミン、ミネラルと、栄養もたっぷりな、記憶にも記録にも残る新時代のラーメン。ムシできない味わいです…!

・9月に東京で販売、100食即完売 /w ラーメン凪

http://nikkan-spa.jp/933273

・そして、なんと、今週末、11月14日15日 には東京・赤坂サカスにて虫ラーメンを販売

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おわり。全部読んでくれてありがとう〜。

芦澤良太

芦澤良太

投稿者の過去記事

京都大学法学部の4回生で、2017年の夏までイスラエルに派遣留学中。もちろんSeiZeeによる派遣ではなく学部によるもの。場所が場所だけに、政治と宗教に関するアンテナは強制アクメ状態であるものの、経済も含め幅広く書いていきたい(書けるものなら)。

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