デフォルトを起こしてしまったのは、ギリシャの自業自得である

デフォルトに陥るギリシャ

ギリシャは、国際通貨基金(IMF)から借りた約15億ユーロ(約2000億円)を2015年6月末の期限までに返済できず、事実上のデフォルト(債務不履行)状態に陥った。

デフォルトとは、国や企業が約束通りに借金の利息を支払えなかったり、元本を返せなかったりする状態を指す。IMFに対して返済期限を守れなかったギリシャもこれに該当する。これは事実上のデフォルトであるが、IMFはデフォルトという表現を避けた。考えられる理由としては、金融市場への影響を考慮したことが考えられる。また、デフォルトと認定するのは民間の格付け会社であるために、あえてこの表現を使うことを避けたのであろう。

 

EUが抱える構造的欠陥

EU体制の脆弱性の指摘が世間一般で叫ばれて久しい。

通常、不況下の状態では、好況にしてインフレに向かわせるために、金融政策を行う。しかしEU体制の下では、ECBが金融政策を一元化している一方で、財政主権を各加盟国に残している。とはいえ実際としてはECBが金融政策の実権を握っているために、各国が自由な金融政策をとることができない。このEUが抱える欠陥はしばしば指摘されるが、要するに、ギリシャも財政を再建しようとしても、独自の金融政策を取ることができないために有効な手段をとることが難しいのである。

 

ギリシャ 画像

ギリシャ国内の政治の腐敗

「グリコノミクス」(ビッキー・ブライス著)からギリシャの内情のひどさを知ることができる。その内容をいくつかピックアップすると、

・脱税を見逃してもらうために、税務職員への賄賂が日常化し、対GDP比の徴税率は7・3%とEU平均の11%を大きく下回る。徴収されない税金は80億ユーロ、ギリシャの財政赤字の約半分を占めている。(2012年時)

・財政再建のために売却しようとした国有地の一部が違法に売却される。

・国鉄は約2000人の従業員に、手を洗うだけで毎月420ユーロの追加手当を支払い、国営トロリーバスの従業員約1800人に、時間通りに出勤するだけで310ユーロ支払われていた。また、国営電力会社の従業員はファックスの使い方を知っているだけで月870ユーロの特別手当があった。

 

債務危機が起きるまで公務員の総数も分からず、調査させた結果、76万8000人にも及ぶことが分かった。得票数を増やすために、与野党問わず有権者に公務員のポストを与えてきたからである。

 

ユーロ圏加入前から問題があることは分かっていた!?

ギリシャは実は粉飾決算を行っていたのである。ギリシャ政府は、防衛費や公立病院の負債を歳出から除くなどの手口で、財政赤字をGDP比2・5%と過少申告した。EUに加盟する際の条件として、国の財政赤字は3%以内と定められている。しかし、ギリシャの赤字は実際には4・3%、債務残高も基準を大幅に超過するものだった。

財政破綻後、ギリシャはEU、ECB、IMFのトロイカ体制により、構造改革を押し進めた。しかしNGO「トランスぺアレンシ―・インターナショナル」の2012年の報告によれば、ギリシャの国としての透明度は176か国・地域の中で、94位。この順位は、ヨーロッパでもっとも腐敗がはびこる国とされたことを意味する。構造改革がなされているにも関わらず、順位を落としている現状を鑑みると、改善はまだまだされていないのが現実だといえよう。

 

ギリシャが独自の金融政策をできないことも大きな問題であるが、それ以前に、国内において改善できる点を改善していかなければ、ギリシャの財政が再建されることは難しいであろう。

<参考>

読売オンライン7月1日付

http://www.yomiuri.co.jp/world/20150630-OYT1T50159.html

seizee編集部

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