「逃げ道」を作る偽善者が子供の将来を殺す

こんにちは、福井です。

東京を中心とする一部の都府県の小中高校では、9月1日に夏休みが明けたようですね。

8月末のネット上では、夏休みが明けることに不満を漏らす人々が多数見られましたが、一週間近く前に夏休みが終わっている長野県民の私としては、「贅沢言うな」としか言えません。7月下旬には河合塾が「夏休み40日間の過ごし方」という記事を公開していましたが、「ふざけないでください」と言いたくなります。

さて、やはり誰にとっても休み明けは辛いものですが、9月1日は「1年の中でも18歳以下の自殺者数が突出して多くなる日」なのだそうです。学校が始まるのが死ぬほど嫌な青少年が自殺の道を選ぶようですね。

こうした中で、悩みを抱える子供達が自殺の道を選ばないよう支援する人々が最近出始めています。

彼らが叫ぶのは、「逃げ道の重要性」という言葉です。

「学校へ行くことは義務じゃない」、「まずは家から出ること」、「学校が辛くてもここがある」など、学校へ行きたくない人にとっては大変耳に心地の良いであろう言葉を並べたて、ヒューマニストを気取っています。

しかしながら、彼らは”本気で”青少年のことを考えているのでしょうか。

教育基本法の第一条を見てみると、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とあります。これを体現する場としてあるのが学校というわけです。

学校は、単に学問を教えるだけの場ではありません。先生やクラスメイトとの関係(時には体罰や虐め! )を経て、集団・社会の規範に適応していく場所です。その場から離脱させることが善であると主張する「ヒューマニスト」たちの事は理解ができません。

そもそも、仮に悩みを抱える青少年を学校から離脱させたとして、その後はどうなるのでしょう。

結論から言えば、「日本のジョブズになる」「社会のゴミになり捨てられる」かのどちらかしかないと考えるべきでしょう。

かねてから、日本の教育は欧米と比べ画一的で均一性を重んじる傾向があると批判されてきました。これに風穴を開けようと息巻いているのが先述の「ヒューマニスト」達といえましょう。

こういった、単純に欧米に追いつけ追い越せと考える人々は、日本の現状をよく考えて発言しているのか、甚だ疑問です。教育が均一的なら日本社会もまた均一的であるのに、教育だけそこから変えていこうとすることが、青少年にどれだけのダメージを与えるのかということを考えているのでしょうか。

人間は楽な場所に安住するものです。とりわけ子供はその傾向が強く、ひとたび学校からドロップアウトすれば、元のように学校に戻る人は極めて少ないはずです。学校から離脱し、社会規範から外れて育った人は文字通りの「社会不適合者」として排斥されてしまうでしょう。その時彼らのためのフリースクールはありません。

つまり、あの甘い言葉を並べ立てる「ヒューマニスト」らは、今子供に甘い言葉をかけることでその子らの将来を破滅させる悪魔にも劣る偽善者だということです。

最近、学校教育を受けずに自宅学習で育っている11歳がもてはやされていますが、彼がジョブズと同じ特殊解だということを認識せずに礼賛する無責任な大人達の存在には閉口するばかりです。自宅学習だけで皆が立派な人間になれるのなら学校は必要ありません。そうならないのは理由があるからです。

では、夏休み明けに学校に行きたくない青少年が自殺してしまうという悲しい状況を打開するにはどうすればよいのでしょうか。

まずは、これまでも指摘されているように、家族関係を改善するのが重要です。思春期前期に入った小中学生との親子関係には難しい所もありますが、少しでもコミュニケーションを取ることは彼らにとって支えとなるに十分だと考えられます。

ですが、やはり最後は子供自身の問題です。虐めという卑劣な犯罪に対してはいかなる手段を用いても良いということを子供達は知るべきです。この考え方は思いは青少年にとって大きな支えとなります。相手は犯罪者、自分は被害者と考えることで、自分に大義があるという自信・自尊心がつくからです。これを教えるのも、家族、特に父親の重要な役割です。

日本社会が均一化された社会である以上、大多数の平凡な人間は同じ土俵で戦うしかありません。それにもかかわらず「学校へ行かなくていい」と吹聴し子供達の未来を潰す偽善者をのさばらせてよいのでしょうか。

彼らは言います。「心に傷を負ってまで学校に行く必要はない」。確かにこうした子供達は心の傷を負うかもしれません。ですがその傷を耐え抜いた時、それは必ずや勲章となります

厳しい状況にいる人達のことはよく分かります。私もそうでした。だからこそ言います。その苦境を乗り切った時、必ず新しい世界が見えてきます。ですから人生からドロップアウトしようなどとは考えず、もう少しだけ頑張り抜いてほしいと思います。

福井健一郎

福井健一郎【社会・政治】

投稿者の過去記事

合同会社ザーズラック代表執行役員社長。1998年、長野県生まれ。長野県野沢北高等学校在学中より複数のベンチャー、NPOに参画。同校卒業を機に合同会社ザーズラックを設立し、現職。「SMAST」「Zazrakインターネットサービス」等を展開。2017年より群馬大学社会情報学部。

Twitter:@fk_mb
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