【知らなかった?!】日本とエチオピアの意外なつながり

皆さんは、日本の皇族よりも古い歴史を持つ国が存在することを、知っているだろうか。

古事記によると、日本は紀元前660年、初代・神武天皇の即位に始まってから今年で皇紀2675年を迎えている。しかし、その約3世紀も前、紀元前1000年から皇室の歴史が始まっている国がある。

それは、

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(CIA公式サイト:https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2088.html)

エチオピアだ。

今年7月にオバマ大統領が、米国大統領として初の公式訪問をした国である。世界のメディアで脚光を浴びたこの国について少し、日本の皆さんにこそ知って頂きたい。

まずは、地図上の場所を確認しておこう。

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エチオピアは、アフリカ大陸東部、「アフリカの角」と呼ばれる場所に位置する。現在、右隣のソマリアでは、アルカイダとも手を組むイスラム勢力アル・シャバブのテロが頻発しており、さらに左隣の南スーダン(2011年に独立した最も若い国)では、ますます激化する内戦が続く。エチオピアは現在、両サイドで起こる争いの始末に向け、双方向へ軍隊を派遣している。今回のオバマ大統領公式訪問では、まずその努力について讃えられた。

普段私達が「エチオピア」と耳にすると、大抵の場合セットでイメージする言葉は、「貧困」「飢餓」はたまた「エイズ」などではないだろうか。だが、この国と日本では、大事な共通点がある。

 

【皇室3000年の歴史(紀元前1000年~)】

エチオピアには、実は古事記よりも古い神話が存在する。「ケブラナガスト」という。本書の伝承によると、紀元前1000年に、ソロモン王とシバの女王の息子メネリク1世という初代皇帝が即位している。その後ずっと、1880年代の「アフリカ分割」といわれるアフリカの植民地時代の最中、エチオピアはアフリカで“唯一”独立を守り抜いた。それでも、日本より古くから存在する国家として公式に認められていないのは、1974年、最後の皇帝「ハイレ・セラシエ」を最後に、エチオピアの皇室が途絶えたからである。当時のエチオピア帝国は、革命をもって現在の「エチオピア連邦民主共和国」へと姿を変えた。

日本とエチオピアが、世界の中で唯一、約3000年の皇室の歴史を共有する二国だということに注目したのが、エチオピア帝国最後の皇帝、ハイレ・セラシエである。その人柄や統率力は欧米諸国を含め世界から称えられており、ケネディ大統領の葬式に呼ばれた唯一のアフリカ人リーダーだ。そんなハイレ・セラシエが、世界では欧米をモデルとした経済や社会の発展が進む中、モデルとしたのが、日本のやり方だった。

 

【文化の類似】

1956年にはエチオピア皇帝の中で初めて自ら日本を訪れ、その歴史や文化の類似性から、日本経済をモデルにして発展をしようとした。

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(朝日新聞(東京)1956年11月20日朝刊7面:http://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/14/data/22/001.html)

エチオピアでは、その歴史の重みもあって、祖先や目上の人へ敬意を表すことを大変重んじる文化がある。また、「個人」よりも「集団」での行動や協調性を大切にする。皆さんが、エチオピア人と触れる機会があれば、その点の親近感を直に感じられるであろう。さらに、数度の訪日使節団派遣を経て、日本の「カイゼン」という文化・ことばに感銘を受け、いまでもこの言葉は日本語を知らないエチオピア人でも、自国の文化を象徴するひとつの表現として広く使われている。

 

【日本との良好な外交】

このような歴史の類似性から、日本とエチオピアの交流は今でもとても和やかなもので、2014年に安倍首相がエチオピアを訪れた際の首脳会談のまとめ、「安倍総理のエチオピア訪問に関する共同声明」(外務省ホームページ)を見ても、その関係の良好さが伺える。この時話し合われた「日本とエチオピアを直行便で繋ごう!」という合意は、今年(2015年)4月22日、実際に実現された。現時点でアフリカと日本を繋ぐ、唯一の直行便となる。

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(http://www.traicy.com/archives/8793816.html)

 

【経済発展と文化継承】

さて、最後になってしまったが、ここで問いたいのが世界で最古の歴史を誇る両国の今後の行方についてだ。長い間、様々な伝承を通じて語り継がれ、守り継がれてきた伝統や文化。エチオピアは現在、世界で最もGDPの伸び率が高い国として、1年で10%もの成長率を記録している。驚くべき発展のスピードであり、喜ばしい事でもある。しかし、その成長の背景にあるものが何か。中国による多大な投資だ。第二次大戦終戦以降、日本は凄まじい経済成長を遂げた。それを支えたのは、アメリカによる指導と支援だった。

その間私たちは、自国の歴史と文化、それ等を紡ぐ教育、政治・・・独自の誇りを、どれだけ守り抜けただろうか。現在、エチオピアが世界から指摘される大きな課題の1つとして、政府の方針に反するメディアの徹底した排除が挙げられる。一方、中国では、「ウェブ上の民主主義」を掲げるGoogle社が、中国政府によるあまりの報道規制に抗議し、2010年に完全撤退している。この点のみを取り出して両国の類似性を指摘するには、少し気が早いかもしれないが・・・。

日本は、戦後の高度経済成長期無しには、今のような豊かな暮らしを得られていないはずだ。エチオピアも、その「貧困」「飢餓」のイメージを抜け出すためには、現在の中国の強力な支援は大変有難いものであろう。国の成長における支援を得ることと、自国ならではの文化や伝統を守り抜くことのバランス。これはいつでも、どの国でも、試されているように思う。特に、築き挙げられた歴史と独自の文化の存在感が一際重い、両国は。

 

(Top Photo taken by Rod Waddington)

世羅侑未

世羅侑未【国際、教育】

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