発展とはなにか?

2015年末、東南アジア10か国はASEAN共同体を形成する。共同体形成の一つの目的でもあるASEAN経済共同体の完成は、ASEAN諸国以外の国にとっても経済成長への大きなチャンスになる。そのチャンスをものにするため、多国籍企業などによるASEAN諸国への投資活動が盛んに行われている。

ミャンマー(ビルマ)はその投資活動によって社会がめまぐるしく変化している国の一つである。経済成長を計るGDP推移を見ても、その発展ぶりは著しいものだ。

ミャンマーGDP

ミャンマーGDP推移

 

(引用元:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP&c1=MM&s=&e=)

また、2013年の日本のODA支出は、対ミャンマーが群を抜いて一番である。

(http://vdata.nikkei.com/prj2/postwar70-oda/を参照)

 

この変化は数字上だけのものではない。ミャンマー国内にあるヤンゴンという都市ではその変化を肌で感じることができる。その変化はまさに新しいビルや道路が次々と「生えている」ようである。

経済が発展していくことは悪いことではないが、その変化に伴う問題も同時に見えてくる。社会の発展に貢献しようとするときに考えるべき点は何かを考えていきたい。

 

経済開発と文化

経済開発は社会が経済的に豊かになるために必要なことである。しかし、その変化に対してどう文化を守るのかも同時に考えないといけない。日本の場合、景観法という法律が京都にあり、文化と経済発展のバランスをうまく保とうとしている。経済開発と文化のバランスは常に考えていかなければならない課題なのである。

 2015年7月、経済開発が著しいミャンマーのヤンゴンで、一つのプロジェクトが中止になった。このプロジェクトは多国籍企業が手掛け、ヤンゴンの象徴でもあるシュエダゴン・パゴダの近くに「ヤンゴンシティ」を作るものであった。このプロジェクトは反対の声があがり中止になったが、経済開発を優先するがゆえに文化を失ってしまうことが将来起こるかもしれない。

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シュエダゴン・パゴダ

 

ヤンゴンを出ると、、、~目で見てわかる「差」~

ヤンゴンの外に出ると景色は一変する。農地が広がっており、低い建物が多く、馬車が道の端を歩いている姿も見られる。ヤンゴンの開発が集中的であり急激な変化であることに気づかされる風景だ。この急激な都市化は、ヤンゴン外の地域にも影響している。その一つとして、地方の人がより良い雇用を求めて都市に集中するということだ。この問題はミャンマーに限らず日本でも見ることができる。都市の発展に伴う地方の過疎化をどう解決していくのかは、経済を発展させていくうえで考えていかなければならない課題だ。

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開発の進むヤンゴン市内

 

社会の変化に追いつかない環境問題

 経済開発はいい意味でも悪い意味でも社会に変化をもたらす。新しいものができれば人がそこに集まり、人が集まればそれをターゲットにビジネスが始まる。しかし、その変化に規制や監視がないと環境問題が生まれる。

ミャンマーではKyauk sein pagodaという新しいパゴダができ、そこに多くの人が集まる。何台もの車が行き来し、パゴダの周りには無造作に作られた店が立ち並ぶ。

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新しいパゴダに集まる人々

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新しいパゴダの周りに集まる人々

 

 

 

 

 

 

 

そしてその周りには、新しいショッピングモールや住居が建設中だ。しかし、この開発中のエリアの外側は何もなく、ただ農地が広がり、道が一本通っているだけだ。何もない地に新しいパゴダが不自然に立ち、そのパゴダを中心に社会が変化していることを肌で感じることができる。

 しかし、この地で起こっている社会の変化に社会そのものが追いついていないように感じる。特にごみ問題は変化についていけてない社会を象徴している。

 

立ち並ぶ店からでたゴミはそのまま店の後ろに捨てられ、そのゴミが山積みになっている状態である。何かを生み出すだけの開発であり、その後の事までは考えられていない開発である。経済発展には常にこういった問題が付きまとっているように思う。

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目に見えるゴミ問題

 

本当の意味での発展とはなにか

ミャンマーで起こっている経済発展とそれに伴う様々な問題は、ミャンマーだけで起こっていることではない。経済発展と文化のバランスや、地方の過疎化は日本でも起こっていることだ。経済発展によって引き起こされる環境問題も、高度経済成長期に日本は経験し公害問題にまで発展している。これらの問題は、経済的豊かさを求めた発展がゆえに生じる問題ではないか。経済的豊かさは数字でも見た目でもわかりやすいが、経済発展だけが「豊かさ」のすべてではない。国や地域が持つ文化や特徴の中にも「豊かさ」はあるのではないか。経済や文化などすべてを含めた総合的な豊かさとは何かを考え、本当の意味で発展することとは何かを一度問うてみてはどうだろうか。

 

参考

日本経済新聞:「ODAマップで見る日本と発展途上国の変化」

 

中田直志

中田直志【国際・政治・文化】

投稿者の過去記事

【国際・政治・文化】
座右の銘は “風たちぬ、いざ生きめやも”です。
自分の書いた文章が、誰かにとっての閃きの瞬間であったらいいなと思ってます。

日ミャンマー学生会議(IDFC)元スタッフ。現在コペンハーゲン大学に留学中。

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