【興味ない人集合】碁のルール知らなくても震えた-『人工知能vs世界最強の棋士』の対決

皆さん、全然興味ないかもしれませんが、いまお隣の国韓国で、人工知能とプロ棋士が囲碁で戦ってるの知ってますか?

知らないですよね?

僕も全然興味なかった一人です。

なんですけど、なんかゆるーくニュースを追っていると、全然ルールなんてわからないのに、「おいおい、漫画かよw」みたいなニュースがどんどん流れてくるので、せっかくだからこの興奮をみんなで分かち合いたいと思い、全然興味ない人たちが「囲碁かっけぇ」ってなるような記事を書いてみました。

サラーッと読んでみてください♫

人工知能が囲碁を打つ…?

いま、韓国でプロ棋士と戦っている人工知能は、グーグル傘下の会社が開発した囲碁の人工知能「アルファ碁」と呼ばれるものです。「ディープラーニング(深層学習)」という仕組みを取り入れたのが画期的らしい。ちょっと難しくて良くわからないかもですが、簡単にいうと、こういうことだそうです。

  1. プロ棋士が打つ手をどんどん学ばせ(その数、なんと数千万手!)、「模範解答」となる打ち方を学びます。でもこれだけなら、人間が勉強してきた「模範解答」を追求するだけに。
  2. コンピューター同士で対局を繰り返し、勝てる碁形や負ける碁形を学びます。これによって、「人間ならこうは打たない」というような手も、相手のコンピューターは打ってくるため、人間の思考では自然に排除される打ち方にも対応し、そこから意外な(クリエイティブな)一手を研究することになった(かもしれないそう)。

人工知能がプロ棋士を打ち倒すにはあと10年かかると言われていた

実は、人工知能がプロ相手に戦っている競技はこれだけではありません。他にもチェスや将棋など、たくさんの知能スポーツで人工知能と人類の戦いは繰り広げられています。
しかし、チェスは19年前に、将棋は4年前に、すでに人工知能がプロ棋士を破っているのでした。
それに対し、囲碁については、盤面が大きく、生み出させる手の数もチェスや将棋に比べて多種多様なことから、「人工知能がプロ棋士を打ち倒すにはあと10年かかる」と言われていました。(参考までに、対局のパターン数を書くと、チェスの場合は、およそ10の120乗、将棋の場合は、およそ10の220乗とされている一方で、囲碁の場合、石を置くことができる場所が桁違いに多いことから、パターンは10の360乗以上といわれているそうです。)

そんな中で、去年、ヨーロッパで大事件が起きます。
ヨーロッパ最強の棋士、ファン・フイが「アルファ碁」に5戦全敗を喫して、敗れてしまったのです。

これにはさすがに囲碁界焦った。
おいおいおい、ファン・フイ負けちゃったよ…。
これはもうあいつ出すしかないんじゃないかと。

世界最強の棋士、イ・セドル登場

そういうわけで、囲碁界はもう黙ってはいられないと、Googleにとんでもない棋士をぶつけます。

それが、「世界最強の棋士」と称されるイ・セドル9段。
囲碁に詳しい方からすれば本当に「世界最強」なのか異論もあるそうなのですが、とりあえず素人的には「イ・セドルがいまの囲碁界で最強の棋士」と認識していいみたいです。(ちなみに、この対戦の賞金は100万ドル(約1億1300万円)!)

全部で5戦行う本対戦前、イ・セドル棋士は記者会見で力強く述べました。

「(5戦中)1敗するかしないかぐらいになるだろう。」

第1局、「衝撃の敗北」に唖然とするプロ棋士たち

3月13日、歴史的な決戦の初戦は、なんとアルファ碁の中押し勝ち(KO勝利)という衝撃的な結果になりました。
韓国はもちろん、ほとんどの棋士たちがイ・セドル9段の5連勝を信じて疑わなかったことから、この衝撃は瞬時に世界に伝わりました。

イ・セドル棋士は、対局後の記者会見で笑顔を見せながら、「本当に驚いた。最初の失敗が最後まで尾を引いた。プログラマーに深い敬意を表したい。」と語りました。

実はこの勝負、中盤まではイ・セドル棋士が勝っていたと多くの棋士たちが見ています。
しかし、感情を閉じ、常に「最善の一手」を突き詰める「アルファ碁」は、ほんの一瞬見せたイ・セドル棋士の隙を逃しませんでした。
セドル棋士自身が述べるように、「(アルファ碁が打ったのは)人間なら普通打たない手だった」そうです。

インターネット番組で解説を担当した石田芳夫9段によると、

「イ・セドル9段には普段と違う感情的な手が見られた。そして、はっきり優勢になってから乱れた。不完全燃焼の負け方だろう。アルファ碁は以前よりも実力がアップしている。形勢判断ができていて、勝負手をことごとく成功させた印象だ。でもまだ人間のトップが負けるのは早い。」

どうやら第1局は、中盤まで優勢に進めていたイ・セドル棋士のほんの少しのミスを見逃さなかった「アルファ碁」が大逆転した模様です。
さてさて、第2局はどうなるのか…。

第2局、全く異なる囲碁、解説ができないプロ棋士たち

第2局、解説を担当したプロ棋士や、中継を見ていた棋士たちは一斉に戸惑います。

「あれ…? あれ…? 今まで見てきた手の中で一番衝撃的な手のような気がする。これは不思議だとしか言いようがないのでは?」(チェ・ユジン囲碁アマチュア5段)

 「不思議だというよりも、あり得ない手です。プロの感覚では考えも付かない手です。どういう意味で打ったんでしょうか?どうやってこの囲碁が…勝てる囲碁になるのだろうか…。」(イ・ヒソン9段)

「アルファ碁」の予測できない変則的な手や、ミスだと思われた手。
プロ棋士たちはその意味に戸惑い、解説ができなくなってしまいます。

「『アルファ碁』はデータにない手を打っているようで怖い。『アルファ碁』の自己学習能力が進んでこういう碁を打つなら、人間はあまりにも無力な気がする」(キム・ソンリョン9段)

そして、第1局と同じく、中盤まではイ・セドル棋士が勝っていると考えていた解説者たちは、終盤どんどんと形勢が「アルファ碁」に傾いていくのを見て謝罪しました。

 「視聴者の皆さんに申し訳ない。イ・セドル9段の敗着(敗因となった石の置き方)が分からない。人間の目で見ると、『アルファ碁』はミスばかりしていた。今までの理論で解説すると、『アルファ碁』の囲碁は答えが出ない」(ソン・テゴン9段)

第1局とは全く異なる戦い方をした第2局を振り返り、ユ・チャンヒョク9段はこう語ります。

「アルファ碁が中盤以降、終始優勢を保ったのは驚異的だ。第1局とは違う姿を見せた。アルファ碁の棋風は全くつかめない」

運命の第3局「弱点があるようにみえた」

イ・セドル棋士は、第3局の戦いを終えて、ゆっくりと対局を振り返り、アルファ碁についてこう述べました。

「こんなにすごい圧迫感、負担感を感じたことはない。力不足だった」

結果は、中押し負け(KO負け)。
人工知能「アルファ碁」への負け越しが決まりました。

プロ棋士たちは、これまでの対戦を通して、共通して「人間では考えられない一手」という言葉を使っていました。人間が囲碁を数千年研究してきた中で見出した「定石」、つまりこの場合はこのように打つのが正しい手だとされる打ち方に対して、「アルファ碁」は新たな打ち方を見出したのです。

ここまでの対戦を振り返り、中央日報はこんなことを書いています。

「アルファ碁が5000年間続いてきた囲碁の原理を根本から書き換えつつある。核心は中央攻略だ。かつて人間が「厚み」と命名して神秘の領域として残してきた空間を、アルファ碁はついに精密な計算力で征服し遂げている。」

しかし、同時にイ・セドル棋士はこうも言っています。

「期待に応えられずに申し訳ない。ただ私が負けても人間が負けたわけではない」
「(アルファ碁は)神の境地に至るほどではない。確かに弱点が存在するように思える。1局、2局でもその弱点を見せていた。」
「(アルファ碁の能力を)評価するには第3局までよりも、第4局と5局の方がいいだろう。多くの人に見てほしい」

ひょっとすると、対戦を通じて、イ・セドル棋士は少しずつ「アルファ碁」の付け入る隙を見出し始めているのかもしれません。

第4局、「こんなに嬉しい勝利はない」

第4局も、「アルファ碁」は囲碁において神秘の領域とされる「中央の厚み」をうまく利用し、優勢に進めていきました。
そして、巨大な「厚み」が作られ、プロの棋士たちも「もうダメだろう」と諦めかけていました。
その78手目、イ・セドル棋士はこの一手に10分、20分、長考します。そして、30分が経とうとした時、「神の一手」を打ったのです。予想外ではないものの、30分長考した「妙手」。これに動揺したのか、この手に対して「アルファ碁」はミスを打ってしまいます。人工知能に「動揺」という言葉はおかしいかもしれませんが、ひょっとしたらセドル棋士は、これまでの第3局を踏まえて、「こういう打ち方は、アルファ碁は理解できないんじゃないか?」という手を考えていたのかもしれません。

第3局後の彼の言葉が思い浮かびます。

「(アルファ碁は)神の境地に至るほどではない。確かに弱点が存在するように思える。」

その後、ミスに気づいた「アルファ碁」が怒涛の追い上げを見せるものの、イ・セドル棋士のKO勝利(中押し勝ち)となりました。
さすがの人工知能も、4戦目にして敗退。

「こんなにうれしい勝利はない。なににも代えがたい、価値をつけられない1勝だ。」

試合後のイ・セドル棋士のコメントは、喜びにあふれていました。

また、この刺激的な一局を振り返り、日本の大橋プロはこう語っています。

「きょうようやく人間側が勝つことができ、人間の可能性も感じることができました。歴史的な一局だったと思います。」(大橋拓文6段)

以上が、第4局までのお話です。
残りあと1局があるものの、第3局の時点で人工知能の勝ち越しは決まってしまいました。
しかし第4局、セドル棋士は妙手を打ち、「アルファ碁」はこれに対応できずに敗れました。彼がいうように、人工知能には思わぬ「弱点」があるのかもしれません。あるいは、人工知能の打ち方に慣れてきたセドル棋士自身が、対局の中でさらに進化しているのかもしれません。
一方で、Google側の担当者は「きょうの敗北はうれしい結果だ。ソフトの弱点を改善するために活用したい。5局目も楽しみだ」と不敵な笑みを見せます。そう、Deep Learning(深層学習)をもって、今日のセドル棋士の打ち方に明日の「アルファ碁」は対応してくるのです。(最終戦は15日(火)です。)

対戦前、イ・セドルが残した言葉が突き刺さる

少し時間は遡り、「アルファ碁」とイ・セドル棋士がこの対戦を始める前。
実はメディアのインタビューの中で、イ・セドル棋士はこのような言葉を残しています。

We cannot go against the trend. I think machines will beat humans someday.
If I get defeated it might be negative for go and this is inevitable in this modern life. However, it will not destroy the value of go itself.
私たちは時代の流れに逆らうことは出来ません。いつか機械は人間を打ち負かすでしょう。
もし私が負けたら囲碁にとってはネガティブなことですが、これは現代社会では避けられないことです。
しかし、その敗北は囲碁自身の価値を損なうことはないでしょう。

震えませんか?
囲碁のルールなんて全然知らない僕でも、この言葉に感動して、この最後の言葉を引用したくて、記事を書いてしまいました。

 

囲碁の世界に突きつけられた究極の問い

実はこの歴史的な対戦結果を踏まえ、いま囲碁の世界では壮大な疑問が湧き起こり、それをめぐって熱い論争が起きています。

<人工知能は、人類に囲碁の新たな楽しみを与えたのか、それとも人類からそれを奪ったのか>

まさかイ・セドルまで負けてしまうと思っていなかった囲碁ファンは、いまこの壮大な問いに立ち向かわなくてはならなくなっています。

皆さんは、どう考えますか?

(素人の僕は、とりあえずヒカルの碁読んで寝よーっと(º﹃º))

おわり

 

徐東輝

徐東輝【政治】

投稿者の過去記事

若者と政治をつなげるivote関西代表。ダボス会議グロバールシェイパー。京都大学法科大学院生として学ぶ傍ら、政治教育・メディアのあり方を探っています。日韓×憲法の視点で執筆中です。

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