留学生よ、日本にいないからって、国政に参加しないってどうよ?

在日外国人が願っても選挙権を与えられず投票に行けないのと同様に、声を届けたくても届けられない人たちがまだいるのをご存知ですか?

在留邦人(海外にいる日本人)は「在外選挙」という制度を使って日本国の選挙に投票することができます。

ただこの制度、あまりに複雑できちんと手続きを完了したうえで投票まで至る人は極稀でしかない現状です。

海外にいても投票ができる、「在外選挙」って?

国外に居住する日本人の方に国政選挙の選挙権行使の機会を保障するためのもの。公職選挙法の一部改正法案(在外選挙法案)が平成10年5月6日に公布された。
在外選挙人名簿の登録に関する部分が平成11年5月1日から、在外投票に関する部分が平成12年5月1日から、それぞれ施行された。

海外で投票するための3つの方法を知る。

内藤さん1

✓ 転出届の提出(渡航する前に)
✓ 在留届の提出
✓ 在外選挙人名簿の登録申請
✓ 住所確認(すでに3か月以上滞在していますか?但し3か月経過していなくても申請はできます)
✓ 在外選挙人証交付(選挙管理委員会から在外選挙人証が送られてくるのは審査を含むため1か月半ほどかかります)
✓ 登録の抹消(転入から4か月が経つと権利は抹消されます。無効となった在外選挙人証は交付を受けた市区町村の選挙管理委員会に返却してください)

※登録資格
①満18歳以上
②日本国籍を持っていること
③海外に3か月以上住んでいること

※登録前の注意
日本国内の最終住所地で転出届が未提出となっている方は登録できません。
申請書には最終住所地と本籍地は記入する必要があります。

投票方法は三つあります。
I. 在外公館投票
海外の日本大使館,総領事館等に設けられた投票記載場所で投票する方法
(なお,2016年7月の参議院選挙では222公館・事務所で在外公館投票が実施されました。)
II. 郵便等投票
在外公館を経由せず直接国内の選挙管理委員会に投票用紙を請求し,送付された投票用紙に記載して返送する方法
III. 日本国内における投票
帰国して3か月以内の選挙人や選挙人が一時帰国した際などに指定投票所で投票する方法

 

海外に渡航したらまず!キーになる3か月

3か月未満の滞在であれば「たびレジ」
3か月以上の滞在であれば「在留届」
というものを外務省に提出するようにしてください。
どこかの国で痛ましい災害や事件が起こったとき、
「在留邦人10名のうち、2名が未だ行方不明」
とテレビで報道されることがありますね。
その10名という数が、その地域に滞在しますという外務省へのお知らせ「在留届」もしくは「たびレジ」(以下二種類まとめて在留届と省略)提出済みの人数を指します。
現在在留邦人125万人、と外務省の方が言われますが、これも在留届提出が成されている人の数に限ります。
実際は提出せずに海外に滞在している人もごまんといます。

海外に住む日本人の投票率はたった…%?

第24回参議院議員通常選挙の実施に伴う、今回で12回目となる在外投票速報
≪2016.7.11≫
在外投票の投票者数は比例代表選挙が23,611人,選挙区選挙が23,360人でした。また,7月10日の在外選挙人名簿の登録者数は105,194人で,投票率は22.45%(比例区選挙)及び22.21%(選挙区選挙)

上の速報をご覧いただくと、投票率22%とそれなりの数字が出ています。
しかし注目は母数、登録者数
105,194人
そのうち投票者数が
23,661人(比例代表)/23,360人(選挙区)

2内藤さん

「在留邦人125万人」
上記の外務省の知人の言葉を信じて計算をし直してみると…

実際海外にいながら2016年7月の参院選に投票したのは約1,8928%でした。

海外にいるからって自分の国に無関心ではいられない。まずは知ることから。

さて、ここまで厄介な手続き等の話を読んでいただいて非常に面倒に思われる方がいるかもしれません。
国内・海外からと二重に投票するということをなくすためにこのような複雑な仕組みを取っています。

これらを読んでみなさんは、海外にいる間は日本国の国政に参加できないことを仕方ないと思いますか?

自身の留学の支援をしてくれている海外留学奨学金制度トビタテ留学JAPANの仲間、また留学中に出会った留学生それぞれに尋ねてまわったところ、7月の参院選に投票が叶ったのはたった一人でした。
その人も手続き機関の方に
「平成生まれなんて初めてです!」
と言われたそう。
いくら若者の投票率向上を日本国内で謳っても、海外の学生に目を向ければこれが現状です。

わたし自身これまでいくつかの国に訪れて日本のプレゼンスの高さをつよく感じたのをよく覚えています。
日本という母国を意識せざるを得なかったのです。
むしろ海外にいる最中、日本=あなた・あなた=日本のイメージと周りの人からは思われている可能性だって大いにあり得ます。

煩雑な手続きを要するものの国政に関わるための機会は用意されています。
(ただ実現性があまりにも低いこの制度はなんとかして改革にもっていきたいところですが)
わたし自身は興味がなかったわけじゃない、待ちに待った投票権をしっかり握りしめて投票所に行くはずでした。
完全に事前下調べが足りなかったのは、現状自己責任です。

今年から投票権が18歳に引き下げになり、高校生のうちに選挙を経験する時代になりました。
…とはいえはじめての選挙、はじめての長期留学に重なる人にとってこの在外選挙人証取得はハードルが高く、よっぽど自分から気づくのは難しいのでは、というのが正直なところです。
気付いた人が伝えゆかなければきっとこの先100年変わりません。

● まずこの制度概要と現状を知った人が、現在留学中ないし今後留学を控えている友人知人に可能な限り漏れないように伝えゆくこと
● そしてこれから海外に飛び立つ当事者は、自身でしっかり概要を掴んだうえでぜひ面倒に思わずに取り組んでほしいということ
● 具体的には
ぜひ学生・大学教員の方々には「留学センター」「国際課」のような事務所にこの在外選挙に関するポスター掲示を依頼する等、留学生全体に関われる部署に対して注意喚起を促す協力をいただきたいです。
(ポスターは総務省のホームページからダウンロード可能です。http://www.soumu.go.jp/senkyo/pdf/061025_02.pdf)

などを徹底してまずは周知させることが、在外邦人の投票率向上に向けたはじめの一歩になるとわたしは考えます。

内藤瞳

内藤瞳【社会・留学】

投稿者の過去記事

名古屋短期大学保育科、トビタテ!留学JAPAN第3期
コドモのような感性や好奇心を頼りにする素直な人が溢れたら、その社会ちょっと惹かれるなと思う。「育児の社会化」の実例を勉強中。トビタテ生としてツバル、デンマークに半年ずつ留学。

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