フランスが戦勝国かどうかって微妙じゃね?

フランスが戦勝国として、そして常任理事国として、頑張っていらっしゃることに文句言ってるんじゃないよ!

むしろ、いまフランスがそうなった経緯を振り返ると、本当に面白いたくさんの思惑と偶然の連鎖があって、面白いなあと思って、少しでも皆にその面白さ(←すこしミスリードかも)を伝えられればと思っている次第です。

いくつかの事実とともに、フランスがどうやって戦勝国になったのかを検証してみましょう。

 

1. 1940年6月、フランスは枢軸国側に転じた

出典:http://www.ne.jp/asahi/koiwa/hakkei/2jisenzu.html

出典:http://www.ne.jp/asahi/koiwa/hakkei/2jisenzu.html

すごくわかりやすい写真があったので、これ見てください。これは1942年のヨーロッパの勢力図です。

1940年6月、ドイツ軍のフランス侵攻で敗北したフランスは、ポール・レノー首相ら抗戦派に代わって和平派が政権を握ります。和平派のトップは、第一次世界大戦の英雄であり、当時の副首相であったペタンでした。

彼はすぐにドイツ、イタリアに休戦を申し出、たくさんの抗戦派が身柄を拘束されました。このとき、ペタンの部下であり、後にフランスを「戦勝国」に導くシャルル・ド・ゴール准将はロンドンに亡命することに成功しています。彼の亡命はこの後のフランスを大きく変えることになりました。

 

2. ナチ党「まるで同士討ちをしたみたいだ」

1940年10月 モントワール駅で握手するペタンとヒトラー

1940年10月 モントワール駅で握手するペタンとヒトラー

フランスは首都をボルドーからヴィシーに移し、ドイツとの協調路線を歩み始めます。(この時期のフランス政権はヴィシー政権ともいわれます。)

このようなフランスの姿勢に対して、ヒトラーとナチ党幹部らは、「フランスがこんなにもナチズムを信奉しているとは。まるで同士討ちをした思いだ」と話していたそうです。

このような言葉からも分かる通り、当時のフランスは、ドイツ・イタリアら枢軸国の恐怖政治のせいで嫌々ながら(強制的に)枢軸国側に立っていたというわけではなく、むしろフランスの政治選択として枢軸国側に立つことを決めたということがわかります。

もっとも、ドイツとの関係においては、非常に不公平な政治的立場であったことに違いはありません。やはり圧倒的なドイツの戦力の前に屈している側面はあったでしょう。

 

3.着々と勢力を弱めるヴィシー政権と、着々と力をつけたシャルル・ド・ゴール

 

シャルル・ド・ゴール

シャルル・ド・ゴール

その後、ドイツの要求に屈し、枢軸国側の立場で世界大戦を進んでいくヴィシー政権に対して、亡命していたシャルル・ド・ゴールは「自由フランス」なる組織を結成します。ドイツによるフランス占領に反対し、枢軸国に対抗するための連合国側の組織です。

シャルル・ド・ゴールは、当初は連合国側にも無名の将軍でしたが、着々と力をつけていき、結成当初の兵力は7000人程度だったにもかかわらず、1944年には40万人もの兵力を有するにいたりました。

そして、連合国側がヴィシー政権とフランスのドイツ軍を駆逐していくなかで、1944年6月3日、北アフリカのアルジェにおいてシャルル・ド・ゴールは「フランス共和国臨時政府」を樹立します。ついに8月25日、パリのドイツ軍の降伏によって、フランス共和国臨時政府はパリに帰還することになりました。

ちなみに、ペタンは、自分が引退してド・ゴールをパリに戻し、政権を委譲することでフランスを継続させようと提案していましたが、ド・ゴールはこれを頑なに拒否していました。

 

4. 戦勝国フランスへ

ド・ゴールはフランスに残るドイツ軍を掃討し、1944年10月23日、アメリカやソ連などの連合国からも正式なフランス政府として、ド・ゴールの臨時政府が承認されました。

その後、連合国側の一員として、フランスは枢軸国側に対峙し、終戦を迎えることになります。

戦勝国として、国連安保理の常任理事国にもなった理由は、ソ連の台頭に対してヨーロッパの西側陣営がイギリスだけでは心もとないなどの西側(英米)諸国の思惑もあったことでしょう。

しかし、このフランスの華麗なる転換は眼を見張るものがあります。ド・ゴールはヴィシー政権をドイツの傀儡政権だったと糾弾し、そのおかげで「悪者は結局ドイツ、枢軸国であり、フランスは連合国側だ」という理屈が成り立ちました。シャルル・ド・ゴールは本当にフランスの英雄といえるでしょう。

 

日本に照らし合わせ、もし終戦前後、日本にもシャルル・ド・ゴールのような存在が入れば、日本という国はまた違っていたのかもしれませんが、歴史に「たられば」はありませんので、妄想もほどほどにしておこうと思います。

seizee編集部

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当メディア『SeiZee』の編集部です。
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昨年末から、モスク、競馬場などへのインタビューに力を入れています。

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