だから〇〇人は。と思った時に思い出したい魔法のルール

以前、デンマークのコペンハーゲンにある「Trampoline House *ⅰ」という施設に行き、そこで働くスタッフや難民、亡命希望者と「人種主義とは何か」について話し合う機会を持ちました。

 

その話し合いの中でとても新鮮だったのは、「人はみんな人種主義者(レイシスト)だ」という言葉でした。これは、「誰でも人種主義者に簡単になれてしまい、全員がその可能性を秘めている」ということを意味します。

人種主義的な行動としてヘイトスピーチを上げることができますが、これは「程度が大きいもの」として考えることができます。人種主義的な行動の中には「程度の小さいもの」もあり、それはあらゆるところに転がっていると言えるでしょう。

例えば、電車の中で外国人が乗ってきて、彼らとの距離をとってしまうといったことは人種主義的な行動の「程度の小さいもの」として挙げられます。つまり、何か人種的な違いを目にした時、ネガティブなリアクションをとってしまうことは「程度の小さい」人種主義的な行動だと言えます。

また、自分たちを人種を優勢的に語ることも「程度の小さい」人種主義的な行動の一つです。「世界が認める日本の技術」や「世界が驚いた日本のすごいところ」などを強調するテレビ番組が日本で見られると思いますが、これは「日本人」が他の人種と比べて魅力的だと語ることを意味していると考えます。

このように、「程度の小さい」人種主義的行動は当たり障りがなく、悪影響の少ないものかもしれませんが、人種主義的思考の一部だと言えると考えられるのではないでしょうか。

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議論の中で、どうすれば人種主義を避けることができるのかも話しました。その中でも印象に残っているのは、「「違い」を目にした時にネガティブな反応をしてしまったり、自分たちが優れていると考えてしまうことは、自然な思考である。人種主義を避けるために必要なことは、その自然に起こってしまう思考をどう乗り越えるかだ。」という言葉です。筆者はこの「乗り越える(overcome)」という言葉がポイントだと思うのです。

「程度の小さい」人種主義的行動は簡単にすることができます。無意識のうちにしてしまっているかもしれません。誰でも人種主義者の可能性は秘めているということです。ですから、瞬間だけ人種主義者になってしまうかもしれません。だからこそ人種主義を「なくす」という考え方より、「乗り越える(Overcome)」という考え方が重要なのです。

では、人種主義的思考を乗り越えるということはどういうことなのでしょうか。
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英語の「Overcome」という言葉には「乗り越える」という意味以外にも「打ち負かす」という意味もあります。つまり、人種主義的思考を「Overcome」するということは、自然に起こってしまう人種主義的な思考を打破していくということなのです。例えば、列に並ばず電車に乗り込んでくる外国人を目にし、「なんてマナーがないんだ。だから〇〇人は、、、。」と考えてしまったとします。その時に、「でも日本人にもそういう人はいるな。〇〇人じゃなくて、この人のマナーが悪いだけだ。」と自分の思考を打破し転換していくことが、誰にでもできる人種主義をOvercomeする方法ではないでしょうか。

 

*i Trampoline House:デンマーク、コペンハーゲンにある非営利団体の施設。デンマークに来る難民や亡命希望者をサポートすることや、彼らと社会を繋げるコミュニティの場として機能している。

中田直志

中田直志【国際・政治・文化】

投稿者の過去記事

【国際・政治・文化】
座右の銘は “風たちぬ、いざ生きめやも”です。
自分の書いた文章が、誰かにとっての閃きの瞬間であったらいいなと思ってます。

日ミャンマー学生会議(IDFC)元スタッフ。現在コペンハーゲン大学に留学中。

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