安保法案 衆院通過 今考えるべきたった3つのこと

集団的自衛権を主軸とした安全保障関連法案が、7月16日に衆議院で賛成多数の可決となりました。同法案はこれから参議院に送られ、審議を受けることになります。テレビ番組や新聞、ウェブ上でも連日大きく取り上げられていますが、全容はなかなか見えてきません。安保法案について、いま考えるべき3つの点をピックアップします。

 

1 違憲か合憲か

最大の問題は、安保法案が日本国憲法に合致するのかという点です。同法案のメインは、日本が直接攻撃を受けなくても日本と親しい国が攻撃を受けた場合に、他国への武力行使を認める「集団的自衛権」の行使容認です。この集団的自衛権の行使をめぐり、合憲か違憲かという議論が続いています。

1951年以来、日本は「集団的自衛権を持つが行使できない」として、行使は違憲という解釈をつらぬいてきました。それを一転させたのが、憲法解釈を変更し「集団的自衛権の行使を認める」とした、昨年7月の閣議決定です。

「安保法案は合憲」と主張する与党に対して、野党の大半は違憲として法案自体の取り下げを求めています。平行線の議論に一石を投じたのは、先月4日の憲法審査会でした。専門家として呼ばれた憲法学者3人が、全員「違憲」という判断を突きつけたのです。

与党推薦の長谷部恭男さん(早稲田大学法学学術院教授)までが「違憲」と言い切り、今国会期間中の法案成立を目指していた与党の勢いは大きく削がれ、議論はふりだしに。野党の厳しい追及に対して与党は1959年の砂川事件判決などを持ち出しましたが、いまだ明確な根拠は示せていません。

 

2 頼みは「衆議院の優越」

憲法審査会以降の向かい風を受けて、政府与党は6月22日、同月24日までだった第189回通常国会の会期を9月27日まで延長することを決めました。会期は計245日となり、通常国会としては戦後最長となります。会期延長のねらいは「衆議院の優越」を発動し、安保法案を確実に成立させることです。

憲法第59条にもとづき、衆議院を通過した法案が参議院で否決された場合、衆議院の出席議員のうち3分の2以上の多数で再可決すれば成立となります。また、衆議院通過後60日以内に参議院が議決しない場合、参議院が法案を否決したものとみなすことができます。7月16日に衆議院で採決に踏み切ったのは、この「60日」を確保するためです。

安倍晋三首相は、軍備を強める中国への牽制や国際的な発言力向上を目的に、今国会での法案成立を目指しています。しかし、強引な国会運営への反発は大きく、法案への批判は根強く残っています。法案が衆議院特別委員会を通過した7月15日には、国会議事堂前には主催者発表によると約7万人が集まり、反対の声をあげました。衆議院の優越発動や政府支持率への影響など、衆院通過後の動きに注目です。

15日デモ風景

写真:国会前で真夜中近くまで続いた反対の訴え(7月15日・撮影=田添聖史)

 

3  選挙権「18歳以上」 来夏参院選から

安保法案について考えるべき最後のポイントは、来年夏にひかえる参議院議員通常選挙です。

先月17日、選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立しました。来年夏の参院選は、18歳以上が有権者となる最初の選挙です。選挙権年齢引き下げによって約240万人が新たに有権者となり、すべての大学生が一票を投じる権利を得ることになります。

現在の参議院議員の半数が改選される来夏の選挙は、国会運営に大きな影響をあたえます。さらに、新たな有権者240万人の投票は、日本の今後を左右するといっても過言ではありません。各政党も参院選を見すえて、大学生や高校生にアピールする方法を練っています。

しかし、いきなり「さあ投票しろ」と言われても、誰に投票すればいいのかわからず途方に暮れてしまうかもしれません。これから始まる参議院での議論は、来夏に向けた重要な手がかりになります。国会で何が話し合われ、誰がどう発言したのか。自分は日本の政治をどう動かしたいのかしっかり考えるために、安保法案はたくさんの材料をあたえてくれます。

 

安保法案は衆議院を通過したものの、まだ成立したわけではありません。安倍晋三首相が15日の特別委員会で「国民の理解は十分に得られたとは言えない」と述べたように、反対を訴えるデモや集会が各地で根強く開かれています。

最も重要なのは、一人ひとりが安保法案について深く考え、自分なりの意見を恐れずに発信していくことです。発信は言論を生み、言論は活発な議論につながります。その議論が、来夏の参院選をはじめ、一票をより実のあるものにしてくれるはずです。

 

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