統計はトリックの温床!?数値やグラフの背景をあなたはしっかり見ていますか?

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大阪都構想の住民投票で話題になったあのグラフ

さる2015年5月17日に大阪都構想の住民投票が行われました。その後、報道やSNSでは<シルバーデモクラシー>という言葉とともに、年代別賛否のグラフ(上図)が話題となりました。

はたして皆さんは、このグラフが出口調査によって得られた数値であることを分かったうえで読み取っていましたか。

 

出口調査とは

出口調査とは選挙結果を予測するため、投票所の出口で、アルバイトとして雇われた人が投票した人に直接投票行動を任意回答で尋ねて調べる調査統計のうち、一部調査の無作為抽出標本調査(注1)の類の調査のことを指します。

つまり、全投票者に聞いて得られた数値ではありません。

また、その方法には
・期日前投票が含まれていない
・回答する人しない人のタイプの違いで投票行動に隔たりがある
等といった点で、正確な数とはずれが生じる可能性が指摘されています。

 

言葉の定義にも要注意〜交通事故死亡者数を例に〜

データを見る際に気を付けたいもう一点は「言葉の定義」です。

「交通事故の死亡者数」の統計の二つのグラフを見てください。

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これは警察庁によるもの

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これは厚生労働省によるものです。

平成20年の死亡者数は、一方では約4200人、他方では7499人 となっています。
この大きな隔たりの背景にあるのは各統計の言葉の定義の違いです。

警察庁は総人口を対象に死亡者を交通事故によって、発生から24時間以内に死亡した者とし、
厚生労働省は日本における日本人を対象に発生から1年以内にそれが原因で死亡した者と定義しています。

延命医療の進歩によって24時間をわずかに超えて命を保った人は警察庁の統計には含まれません。
反対に在日外国人の死亡者を含めるのは警察庁の統計のみです。
つまり、「日本国内で発生した交通事故による総死亡者数」はどちらの統計からも知りえないのです。

 

数値を見る目を変えていこう

住民投票のグラフについてみなさんに注意していただきたいのは「出口調査と実際の選挙結果がどれほどずれているか」ではなく、グラフを判断材料に今回の結果について考えた人が「これは出口調査の結果だ」とわかっていたか、です。
わたしたちは数値を根拠に何かを評価することが多くあります。

だからこそ目にする数値やグラフの意味を安易に捉えずその調査方法と、言葉の定義について冷静に確認し真実を自分たちで分析していく必要があるのです。

 

(注1)無作為抽出標本調査とは、対象となるものすべてを調べるのではなく、一部を無作為に選んで行う調査を指します。

参考
『統計数字を疑う』門倉貴史 光文社新書
『よくわかる統計学Ⅰ基礎編』 金子治平 上藤一郎 ミネルヴァ書房
(警察庁統計データ)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001128896
(厚生労働省 人口動態統計)
http://www.mhlw.go.jp/…/jinkou/tokusyu/furyo10/dl/gaikyo.pdf

seizee編集部

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当メディア『SeiZee』の編集部です。
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