国会デモを見てきた。

安全保障関連法案(通称:戦争法案、平和安全法案)が参議院・平和安全法制特別委員会で強行採決された日である、9月17日(木)、国会前に私は足を向けた。

 

国会前。「怒髪、天を衝く」とでも言うべきか、怒りに震える人々が国会に向けてマイク、メガホンを握っていた。

 

 

少し遡って、強行採決が行われたと速報が入った時、私はヒートアップしているであろう国会議事堂前を見学するために丸ノ内線に飛び乗った。国会議事堂前駅の改札を抜けたその時、普段なら見かけない警察官が配備されていることに一驚を隠せなかった。

 

警察官は駅前の歩道を柵でふさぎ、デモに参加する人々を国会前にうまく誘導している。抑圧的に締め付けを行っているとの噂を聞き及んでいた私は、現実と噂の乖離にうたた粛然たらざるを得なかった。百聞は一見にしかずとはこのことか、と。

 

「雨でお足下滑りやすくなっておりますので、お気をつけください。」と拡声器で注意を喚起する警官。道を聞く人々、丁寧に応える警官。あら、普通の光景。

 

総理大臣官邸、いわゆる首相官邸前では「Yes! 安保法案」デモの人々が声を上げる。朝、新宿駅前で彼らの主張は聞いたので国会前に急いだ。そういえば、このデモの人々は「平和安全法制が徴兵制につながると言う人がいますが、ありえません。安倍総理がないと断言しています。」と言っていたが、歴代の内閣総理大臣が行使できないと言ってきた集団的自衛権の行使が容認されようとしていることには極めて鈍感である。いずれ安倍さんも総理大臣を降りるのだから、

 

さて、歩をさらに進めると、国会の正面の朱雀大路、警察車両がずっと先まで停められている。信じられないほど狭い車幅で。

運転技術高いなあ。いや、そこじゃないか。

 

その道路にまで抗議の声は広がろうと試みるが、警察車両の壁に阻まれる。「道路には出ないでください」と警官。それに怒り狂った初老が、怒鳴る。「お前らの車をどかせば、いいじゃないか!」。しかし、考えてみれば、重要な安全保障関連法案を審議する議員らが車で通行する場所だ、そこまでふさぐ訳には行くまい。

山本太郎氏のTwitterより

山本太郎氏のTwitterより

 

さて、反安保法案デモ群の先頭に至ると、すでにくたびれた人々が雨の中に立つ。国会内の混乱を抜け、マイクを握りに来る議員。力を振りしぼる人々。しかし、なぜ彼らはその中に罵声を込めるのか。これっぽっちも理解できない。安全保障関連法案に反対なのは法案の中身に対してであろ。ならば、理を尽くさねば何の意味もない。

 

委員会中継を見ていた私からすれば、委員会での審議も理を尽くしたものだとは言えない。矛盾と欺瞞に満ちていた。的を射ない質問に、用を得ない答弁。国会の内も外も何やっとんねん。

 

「民主主義国家は、自分達にふさわしい政府を持つ」、”In every democracy, the people get the government they deserve.” ― Alexis de Tocqueville

 

これは建国間もないアメリカに民主主義の萌芽を感じたトクヴィルの発言だ。

 

私は日本には民主主義がない、と今回の一連を見て痛切に感じた。安保法案反対派も賛成派もだ。互いを詰り、否定するだけなぞ、民主主義ではない。民主主義を考え直さなければならない。

 

多数派と少数派が社会について対話をする場が国会だ。すなわち、多数派と少数派が互いに考えを表明し、その案のいいとこ取りをして、合意形成をはかることで施政に活かす場なのだ。多数派は丁寧に少数派の意見を聞かねばならないし、少数派は「こうしろ!」と言うだけではダメだ。

 

では、とりあえず欧米風に”You’re right, but…”から始めてみよう。

 

 

斉藤亮太【思想・哲学・宗教、政治、文化】

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私に「社会不適合者だ!」と言ってくる人がいますが、それならば社会が私に合わせればいい。え? 合わせられない? そんなに能力低い社会なら変えないとねぇ。
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