世論調査に惑わされないために覚えておきたい2つの社会学的効果

最近よく見る世論調査

みなさんは最近、どこで世論調査を目にしたでしょうか?
大阪都構想や集団的自衛権などの政治に関する記事、あるいは社会的嗜好に関するコラムなど、多くの新聞やテレビ等のメディアで取り上げられていますね。

さて、世論調査には一般的に標本調査という手法が用いられます。

昨今、頻繁に標本調査が実施される要因は二つあると言われています。

一つ目は、インターネット社会の拡大により、調査が安易に実施しやすくなったからです。
二つ目は、メディア上で意見を主張する裏付けとして、データが便利な指標であるからです。

 

そもそも標本調査って??

そもそも標本調査とは、ある集団の中から一部の対象だけを抽出して調査するもので、我が国で行われている統計調査の多くはこの方法により行われています。

身近なものでは、社会的問題に関する社会調査、政治に関する世論調査、人々の嗜好に関する市場調査で用いられています。

これらは、マスコミや公的機関、調査会社などが実施しており、時間と手間が掛かからないため安易に行うことができます。

しかしながら、日常生活において目にする標本調査ですが、データとして不適正なものが数多く存在します。

 

社会的規範が生み出すブラットリー効果

なぜ不適正なのでしょうか?
なぜなら、適当な調査方法や質問が、回答者自身の回答へ影響を与えてしまうからです。
標本調査には、本来の回答ではない嘘の回答が、集計結果として公表される傾向があるということです。

では、実施方法という視点から、対面調査で起こりやすい影響について考えてみましょう。
対面調査では、良く思われたいという社会的規範が働くため、アンケートや世論調査において自己の意思に反した回答をする傾向があります。
このような社会的規範により、機能しなかった世論調査をブラッドリー効果と言います。

 

ブラッドリー効果の由来となったエピソード

この効果は、1982年に行われたカリフォルニア州知事選挙を基に名づけられました。
知事選挙では、黒人のトム・ブラッドリーが白人のジョージ・デュークメジアンと争いました。
事前の世論調査では、ブラッドリーが優勢だったものの、選挙当日になると、かつてブラッドリーを支持していた白人有権者の多くがデュークメジアンに投票し、ブラッドリーは負けてしまいました。

いったい白人有権者に何が起こったのでしょうか?

多くの白人有権者は、「白人に投票する」という意見を表明することで、調査者が人権差別主義的イメージを抱くことに恐れを抱きました。
その結果、世論調査では黒人候補者に投票すると言い、実際の投票では白人候補者に票を投じたということです。

 

世論調査が引き起こすバンドワゴン効果

上記のブラッドリー効果が再度注目を浴びたのは、バラク・オバマが出馬した2008年のアメリカ合衆国大統領選挙でした。
ある州の予備選でブラッドリー効果が懸念されるも、オバマ氏は圧勝し、黒人初の第44代アメリカ大統領に就任しました。

ところが、興味深いことに予備選では、黒人が多い州において、事前の世論調査よりも、実際の得票率が高くなる逆ブラッドリー効果が見られました。
ここでは、有権者がより有利と公表された候補者に投じるバンドワゴン効果が、世論調査により人々の投票行動に影響したと言えます。

 

正確な情報を自ら客観的に捉えよう

このように、標本調査では、国民の意見を正確に踏まえた結果ではなく、社会的規範や出題方法から回答に影響がかかった集計結果が公表されてしまう傾向にあります。

これらの正当性を見極めるには、他にも実施方法、言葉遣い、回答選択制、質問の順番といった視点から確認しなければなりません。

また、調査の構造のみに重点を置くのではなく、多くの情報を収集し、客観的に物事を捉えるようにしましょう。
有名なマスコミの調査であるから信用できる、全部間違っているではなく、自ら調査の信憑性を疑うことが重要です。

もちろん正確に実施されている標本調査もありますが、バンドワゴン効果を生み出すのではなく、参考程度に、自らの意志と情報を基に投票するようにしましょう!

seizee編集部

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当メディア『SeiZee』の編集部です。
「読んだらちょっと、考えちゃう」をテーマに記事発信しています。

昨年末から、モスク、競馬場などへのインタビューに力を入れています。

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