軽減税率、世論調査で賛成74%wwwwwwwwww

皆さん、再来年の4月にいよいよ消費税が8%から10%に増税されます。

でも、消費税があがるっていうことは、やっぱり国民にとってキツいです。特にあんまりお金がない「低所得者層」には。

そこで、いま政府与党(自民党と公明党)がいろいろと策を練っているんですが、どうやら「軽減税率」っていうのが導入される方向みたいなんですね。

…え

なになに、軽減税率を知らない…?

では、簡単に軽減税率というものをご説明しましょう。

 

軽減税率って何?

軽減税率とは、全ての消費財に対して一定の標準課税をすると低所得者層の負担が大きくなるため、生活必需品などは税率を据え置くという措置のことです。日本でいうと、10%に上がる消費税に対して、一定のものは8%に据え置くというものです。

ちなみに、低所得者層って何かというと、年収が300万円以下の方々を指します。総支給額ですから所得税等を差し引くと手取りで200万円~250万円、月に使えるお金は16万円~20万円程度ということになります。

実はこの低所得者層が日本では最も多く、日本の労働人口では4割以上(41%、平成24年度調査)です。

日用品などの値段があがるということは、こういった低所得者層に直接的な打撃を与えることになるため、負担軽減のための議論をしないといけず、軽減税率の導入などが考えられているということです。

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めっちゃいいじゃないですか!!!!

消費税8%にしておいてくれるんですよ!!なんとなんと!!消費税が増税されても、今までどおり8%のままにしておいてくれるのですから、本当にありがたいですよね♫

そりゃ、いいよねと。

10月26日付け日経新聞・テレビ東京による世論調査では、

2017年4月の消費増税時に一部品目の税率を低くする軽減税率の導入は「必要だ」が74%に達し「必要でない」の17%を大きく上回った。

(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H1E_V21C15A0MM8000/)

とのことでした。

いや、そりゃこれだけ聞いたら誰でも賛成になります。

皆さん、準備はいいですか…。

ここから皆さんを、「軽減税率絶対反対♫」のシュプレヒコールへと導きますよ。

 

この「軽減税率」は実はいろいろとやばい可能性がある…

そもそもこの制度、政治家の話を聞いていると、

”増税による国民の負担「感」の緩和”

が目的であって、

「負担の緩和」そのものが目的とは言わないことからもわかるように、一旦、国民の感覚・雰囲気をつくるっていうのが目的なので、その時点で眉唾ものなんですよね。

とりあえず、軽減税率がどうして微妙なのか、まずはその理由をまとめてみました。

  • 税収が落ち、社会保障に回すお金が減っちゃいます
  • どの品目を軽減税率の対象とするかの判断が非常に難しいため、ロビーイングと訴訟が乱発しちゃいます
  • 結局商品の価格決めは企業ごとの判断に委ねられているので、軽減税率が導入されたからといって消費者が今の値段で物を買えるのかどうかは保証されていません
  • 導入コストの掛かり方が半端ないんです
  • 低所得者対策として本当に効果があるのか。もっと良い方法がある!【←最大の理由】

 

理由1:税収が落ち、社会保障に回すお金が減っちゃいます

皆さん、思い出して下さい。

消費税増税は何のためにするのか。

自民党・公明党・民主党は、「社会保障と税の一体改革」と説明し、消費税の増税分は全額社会保障費に回しますと宣言してました。実際、内閣官房のWebサイトには、その説明が記載されています。

ということは…消費税の税収が低くなると、その分社会保障に回るお金はどんどん減っていきますよということ。

日経新聞(10月29日)の報道によると、

政府・与党は29日、消費税率を10%に上げるときに一部の商品だけ8%に据え置く軽減税率の財源について、これまでに確保した約4千億円から約1千億円積み増す方向で調整に入った。ただ、公明党は1兆円規模の財源が必要としており、与党の議論が決着するかは不透明だ。 新たな財源は子どものいる低所得者世帯への給付を削減することなどでひねり出す案がある。

(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H23_Z21C15A0EAF000/)

新たな財源は子どものいる低所得者世帯への給付を削減することなどでひねり出す案がある。

いやいやいやいや…。本末転倒すぎる…。

どうやら1兆円規模の税収が失われるという試算がされているということで…。

「いや、でも!それでも!無意味じゃないんだから、低所得者の方のためには必要なんだ!」

という声があるかもしれません。もう少し理由を積み上げます。

 

理由2:どの品目を軽減税率の対象とするかの判断が非常に難しいため、新たな利権争いが生じるとともに、訴訟が乱発しちゃいます

いま政府内では、どのような品目が軽減税率の対象となるのかをめぐり、議論がなされています。

以下の表は、一旦与党税制協議会においてまとめられた一案です。

軽減税率の対象 軽減税率の対象外
お米 パン、おもち、
野菜、カットレタス ミックスサラダ
生乳(加熱殺菌なし) 牛乳(加熱殺菌あり)
生わさび チューブわさび

どうですか、皆さん。

意味不明じゃないですか??

もうね生乳と牛乳で何が違うんだよ…。わさびはわさびじゃん。(笑)

こうなると巻き起こるのが、商品を扱う企業による政治家へのロビーイングです。

「政治家さーん、これ軽減税率の対象にしてください。」ってとんでもない陳情が始まり(始まってるんですが)、政治家たちは新たな利権を手に入れて投票誘導と献金誘導ができるという仕組み。

利権・族議員がはびこる可能性が大、というかはびこります。

さらに!他国では軽減税率の対象品目の適用をめぐって訴訟が乱発しています。

「プリングルスは原材料に含まれるじゃがいもの割合が半分以下だから、ポテトチップスではなくむしろケーキだ!」とイギリスでかの有名な「プリングルス・ケーキ事件」が起きました。笑えますよね。

どれを軽減税率の対象にすべき生活必需品かは本当に難しい問題なんです。

新聞社が「新聞は軽減税率の対象にすべきものだ」と主張していますが、そんなものは結局政治家と行政の判断に委ねられるしかない。数百万もの種類がある消費財をめぐって、こんな不毛な争いをさせるべきなんでしょうか・・・。

まだまだ理由は続きます。

 

理由3:結局、商品の価格決めは企業ごとの判断に委ねられているので、軽減税率が導入されたからといって消費者が今の値段で物を買えるのかどうかは保証されていません

皆さん、まるで軽減税率が導入されたら今のままの値段で物を買えると思っていませぬか。

世の中そんな甘くないですよ、お姉さん。

8%の消費税が維持されたとしても、結局商品の値段を決めるのはそれぞれの企業・業者なんですから、値上げされても何も文句言えません。というか、これに乗じて値上げする企業は普通にいますよ。

自販機のジュースを思い出して下さい。

消費税導入の結果、消費税3%になって100円のジュースが110円に。

3%から5%の増税の際に、110円のジュースが120円に。

5%から8%の増税の際に、120円のジュースが130円になったりしてますよね。

でも、もともと消費税がなかったジュース100円時代から考えると、消費税8%ならジュース110円でも全然いいわけですよ。

軽減税率にそんなに期待しないほうがいいですよ、という側面からの意見です。

あと2つ!!

 

理由4:導入コストの掛かり方が半端ないんです

消費税ってどこが納めるかご存じですか??

皆さんじゃないですよ!(笑)

消費税の納税義務者は事業者です。なので、消費税が変わることになって一番手間がかかるのは事業者です。

値札をつけかえないといけないし、レジデータは入力し直さないといけないし。

しかし、それ以上にやばい負担があって、それが「事業者が何をいくら分売ったのかをどうやって国が把握するのか」ということへの対応策です。

軽減税率が導入されると、対象品目がどれだけ売られたのかを把握しないと、納税義務額がわかりません。

これまで、日本は一つの税率のもとで単純な計算していたのですが、複数税率になると、軽減税率の対象品目の場合は8%、それ以外は標準課税の10%ということになるので、経理方式が複雑になります。

ヨーロッパで導入されているインボイス(税額票)方式をいきなり採用するにはあまりにも事業者負担がかかるということで、11月7日、政府与党はいったん、完全なインボイス方式の導入は3~4年後をめどにし、まずは簡易型インボイス方式をとると。あるいは、おおまかな税率計算で済むような「みなし税率」も選択できるようにしてはどうかという流れになっているそうです。

とりあえず、事業者にとってはマイナンバーの導入とともに、とんでもない負担がこれからかかってくるということです。

 

さて、最後、軽減税率を導入すべきではない、根本的な最大の理由をご説明しましょう。

理由5:低所得者対策として本当に効果があるのか。もっと良い方法がある!【←最大の理由】

軽減税率は、実は低所得者対策として本当に効果があるのか、とっても疑問のある制度なんです。

逆進性を解消しない…

皆さんは「逆進性」という言葉をご存知ですか?

消費税はこの「逆進性」がある租税だと言われるのですが、その意味は「国民全員に一律に同様の税金が課せられることによって、高所得者層よりも低所得者層にとって負担が大きくなる」ということです。なぜなら、低所得者層のほうが、支出のうち生活必需品に使う割合が大きいので。

そして、低所得者層の負担を緩和するためには、この「逆進性」をなんとか解消しないといけない。

なのに、これまた「全国民一律に同様の軽減税率」を導入すると…。

いやいやいや(笑)

本当に低所得者層の負担を緩和するためなら、低所得者だけをターゲティングした対策を出さなきゃいけないでしょ!!!!

軽減税率で得するのは低所得者層よりも高所得者層

びっくりしますか??

ちょっと政府の図を出して説明しますね。

軽減税率

これは、与党税制協議会が作っている資料です。

これ、収入ごとに世帯を第Ⅰ~Ⅴ分位世帯に分けて、その場合の負担軽減額を書いているんですが、この資料によると、第Ⅰ分位世帯(下位2割)が生鮮食料品軽減税率によって受ける利益は年間2325円、一方で第Ⅴ分位世帯(上位2割)は年間4938円なんです。

つまり、高所得者のほうがお得。

他の資料をみると、「アルコール類を除く飲食料品」においては、第Ⅰ分位世帯(下位2割)が受ける利益は年間8470円、これに対して第Ⅴ分位世帯(上位2割)が受ける利益は年間19,759円という…。

え?それでも低所得者層にとっては利益が出るんだから、やるべきでしょって?

確かに。しかし、何も「低所得者層への対策をやめろ」と言ってるわけではありません。「対策として軽減税率はおかしい」と言っているのです。

では、どういう対案があるでしょうか。

 

給付付き税額控除しましょうよ…

実は維新の会が主張していて、かつては民主党も主張していたのですが(最近は方針転換してる…?)、低所得者層限定で、消費税増税で負担になっている分を給付する形を取ればいいのです。

生鮮食料品を2%軽減したことにより失う税収は3600億円(与党税制協議会試算)と言われているので、軽減税率を辞めて、これを税収として活用すれば、世帯収入300万円以下の世帯一人ひとりに3万円強の給付を行うことができるんですよ?

ここでのポイントは「世帯ごと」ではなく、「一人ひとりに」です。つまり、世帯の子どもの数が多くなればなるほど給付額が増えるので、はるかに家計への支援効果は高い。子育て支援にもつながっていきます。

 

国際会議でも「軽減税率びみょうだね」って言われてます

 

もっというと、2014年4月に、OECD主催の国際会議「VAT(付加価値税=消費税)グローバルフォーラム」が東京で開催されたのですが、軽減税率について以下のような報告が公表され、政府税制調査会でも報告されています。

 「今回の消費税グローバルフォーラムにおいては、消費税が、所得等の異なる層に与える影響についても議論が行われた。低所得者世帯の負担を緩和するため、軽減税率を導入している国もあるが、消費税グローバルフォーラムにおける議論においては、軽減税率は、低所得者を支援する方策として、対象者を限定した給付措置に比べると極めて非効率であるということが確認された

「ヨーロッパを反面教師として、ぜひ日本には良き低所得者対策をしてください」

と聞こえるのは僕だけですか?

そりゃ、「軽減税率にして日用品が税率8%に据え置かれることに賛成ですか?反対ですか?」と聞かれると、みんな「賛成」って答えます。

ですが、内実をみると、これだけ非効率かつ効果的でないものはありません。

低所得者層は、まだまだ日本社会の中ではマイノリティです。そのマイノリティへの対策を国民全員の民主主義で決められるのかという問題もこれははらんでいるような気がします(そりゃ誰だって税の再分配で損するのは嫌だもん)。

ここで、衆愚・ポピュリズムを生じさせてはなりません。

”増税による国民の負担「感」の緩和”なんて言葉を政治家に使われるなんて、国民が馬鹿にされています。

感覚なんてどうでもいいから、本物の政治をしてくれというために、もっともっと賢くなりましょう。

 

 

【参照】

http://diamond.jp/articles/-/63534

http://diamond.jp/articles/-/58486

http://sirundous.com/ponics/keigendemerit/

 

徐東輝

徐東輝【政治】

投稿者の過去記事

若者と政治をつなげるivote関西代表。ダボス会議グロバールシェイパー。京都大学法科大学院生として学ぶ傍ら、政治教育・メディアのあり方を探っています。日韓×憲法の視点で執筆中です。

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