さあ”フウフドウセイ”の話を一歩進めよう。

平成27年12月16日、最高裁判所の大法廷で夫婦別姓禁止を定めた民法750条の違憲性をめぐって争われた裁判で、同規定を合憲であるとする判決が下された。

 

それを受け、これから”フウフドウセイ”について考えみよう。

1.夫婦別姓禁止規定に関する最高裁判決

まず、この裁判の判決文を読んでみよう。(1)姓氏の家族の呼称としての意義、社会における基礎的な集団、子を考えた際の両親の姓の一致の意義や、アイデンティティの喪失感、社会的信用、評価、名誉の減じる恐れや、圧倒的多数が夫の姓を選ぶ現状のもたらす不利益について言及しこう述べる。

以上の点を総合的に考慮すると,本件規定の採用した夫婦同氏制が,夫婦が別の氏を称することを認めないものであるとしても,上記のような状況の下で直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとは認めることはできない。したがって,本件規定は,憲法24条に違反するものではない。

(2) なお,論旨には,夫婦同氏制を規制と捉えた上,これよりも規制の程度の小さい氏に係る制度(例えば,夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制)を採る余地がある点についての指摘をする部分があるところ,上記(1)の判断は,そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。

つまり、最高裁判所は「現時点で夫婦別姓禁止規定は合憲だが、将来的に選択的夫婦別姓制度ができたら、ただちにそれが違憲を構成するとは言ってないからね」と、判決文にわざわざ書いている。そのため、選択的夫婦別姓制度が今後実現しないという事はない。なら考えなきゃ。

 

2.夫婦別姓への反論

夫婦が互いに異なる姓を持つことに対する批判として主に1)「日本の家族制度が崩壊する」、2)「家族の絆が薄れる」、3)「公共機関の手続きが面倒になる」が挙げられる。このうちの1は、選択的夫婦別姓制度の採用は家族制度のリフォームであり崩壊を招くものではない―もっと解りやすく言うと、離れを新築するに過ぎず、そのせいで母屋が崩壊する訳がない―ために批判として適切ではないため、3はマイナンバー制度の施行で解消されたため、検討しない。2を検証する。

 

3.話を一歩進めよう。

2)「家族の絆が薄れる」について、検証するにあたり、当該裁判の原告側が夫婦同姓制度で女性が不利益を被ることがあるとしている点も鑑みて、1度性差を除外してフウフドウセイを考えてみる。つまり、「夫婦同性」についてだ。

 

渋谷区が同性パートナーシップ条例をつくり、世田谷区が同性パートナーシップ要綱の策定に動いている。しかしすばらしい前進にも関わらず成立しても、カップルらの関係は依然として婚姻関係ではなく、法的な保護も十分でない。実質的婚姻関係があろうと法的には認められない。ところが、彼らの家族としての内的意識はどのようなものと推測できるだろうか。GoogleあるいはYahoo!で「同性婚」と検索していただくと、一般的家族と同じかそれ以上に絆は強いものと分かるだろう。しかし彼らは戸籍上、別姓であり続けるし、そのためにパートナーの姓で呼ばれ「頬を赤らめる」こともないだろう。

 

4.何が言いたいかって?

上の話で何を言いたいのかと訝しんだ人もいよう。私が指摘したいことは、「姓そのものの話は、婚姻の本質ではない」ということだ。私は婚姻の本質を「家族の絆」だと考えている。すなわち、婚姻の本質は「愛」であると考えている。故に、LGBTの話を考慮に入れ、婚姻の本質が「愛」だとすれば、夫婦同性は支持されるはずだが、夫婦同姓は支持されるとは限らない。より明瞭に言うと、「家族の絆」を夫婦別姓制度に対するアンチテーゼとすることは不可能ということである。

 

5.まとめ

婚姻は究極的には「愛」の話であり、姓など副次的な構成要素に過ぎない。もし、人々の感情の深層で姓の変更に嫌悪が生じるならば、それはできる限り可能な仕方で取り除く必要がある。相手が好きなことと、その人の姓を出生以来の姓よりも好ましいと感じるかは別だからだ。

 

また、人々が結婚する際に、どちらの姓にするか選べるということが社会的損失をほとんど生じさせないために、つまり功利主義的に判断出来ないために、言い換えると数値化できないために、人々の生きた実感に依る問題であって、極めて哲学、倫理学的な話なのである。

 

従って、慎重な上にも慎重な議論が求められている。今すべきことは「あっちはダメだ!」「こっちがいい!」という喧騒に社会を浸らせることではなく、いずれを「なぜ」支持するか論理的に突き合わせることである。

斉藤亮太【思想・哲学・宗教、政治、文化】

投稿者の過去記事

私に「社会不適合者だ!」と言ってくる人がいますが、それならば社会が私に合わせればいい。え? 合わせられない? そんなに能力低い社会なら変えないとねぇ。
座右の銘「まず疑ってかかるのが科学です」ー

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