【選挙】地域差よりも深刻!世代間一票の格差について考える【若者】



はじめに

 

みなさん、今年の夏は選挙があります!この選挙は参議院議員選挙ですが、18歳選挙権がスタートするため、高校3年生や大学1,2年生にとっては初めての国政選挙となります。筆者であるこの私も今夏初の国政選挙の投票ができるようになりました。

選挙に対するみなさんの想いは多々あるでしょう。たとえば、選挙に行くか行かないか、誰またはどの政党に投票するのか、そもそも夏の選挙の存在を知っているか(笑)、などです。今夏の選挙の結果次第では大きな政局の変化が起きることでしょう。自公連立政権が2/3の議席を獲得し、憲法改正に王手をかけるのか、それとも野党連合がそれに歯止めをかけるのか、それらは我々若年層の一票にかかっています。

 

いや、本当にかかっているんでしょうか?

 

と言いますのもこれから私が紹介する「世代間一票の格差」があるからです。

 

一票の格差

日本の選挙選挙制度で大きな問題点となっている一票の格差ですが、この一票の格差は地方と都市地域の選挙区当たりの人口格差によって引き起こされ、概して都市地域側が不利でした。前回の衆議院選挙(14年)と参議院選挙(13年)での一票の格差はそれぞれ2.13倍、4.77倍と大きなものとなり、憲法の定める法の下の平等に抵触するとして裁判所からはたびたびこれらも選挙の現状を「違憲状態」と評する判決がなされました。

この一票の格差をもう少し詳しく解説しますと、選挙の結果は通例その選挙区における総投票数に対する得票率で決まります。選挙区はそれぞれ個別に区分されていますので、人口が多い選挙区と少ない選挙区ができます。人口が少ない選挙区での一票は人口が多い選挙区の一票に比べて得票数に対する影響が大きいことになります。前回の参議院選挙の約5倍を例に取りますと、議員一人当たりの有権者数は最多の兵庫が114万人に対して最小は鳥取の24万人となり、鳥取選挙区の有権者は兵庫選挙区の有権者のおよそ5票分の投票権を持つことになります。この格差は今夏から導入される10増10減で是正される見通しですが、依然として大きな格差が残ることでしょう。

このように一票の格差はたびたび話題に上がり、早急に解消されるべき問題として扱われますが、以下のことはあまり聞いたことがないのではないでしょうか。

 

人口による世代間一票の格差

 

世代間一票の格差はまず若年層と高齢者層の人口の違いによって現れます。現在高齢者層は団塊の世代というボリューム層が存在し、高齢化がすすんだため人口が多く、逆に若年層は少子化によって人口が少ない状態です。若年層を現在選挙権を保有する20歳から34歳とするとその人数は約2000万人。それに対して高齢者層は幅14歳として65歳から79歳までとすると約2400万人で、65歳以上の全高齢者人口は約3400万人です。単純計算した場合人口による世代格差は前者では約1.2倍、後者では約1.7倍となります。

 

投票率による格差

これらの数字、上の地域格差に比べれば大したことのないという印象を受けるかもしれませんが、これに投票率を掛けた場合はどうなるでしょうか?

前回の総選挙での20~34歳の投票率は35~45%と低く、総人口と掛けた投票総数は約800万人と見積もられます。それに対し同じ年齢幅での高齢者の投票総数は約1800万人となります。約2.25倍もおおく高齢者の声が国政に届いていることになります。

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本当の世代間一票の格差とは

 

2.25倍、これは結構大きな数字です。でもこれは厳密な一票の格差ではなく投票の結果ですので若者がもっと投票に行けばいいとも言えます。他にも投票棄権は現状への穏やかな支持であり、若者の声が届いていない訳ではないという意見もあるでしょう。でも待ってください。まだ終わっていません。今までは人口ベースで世代格差を見てきました。でも

 

世代格差が地域格差を内包しているとしたら…?

 

若年層を含む生産年齢人口は首都圏などの都市部に集中し、その都府県の60%以上を占めます。一方で地方圏は概して生産年齢人口が小さく、高齢者人口が大きいです。即ち、一票の格差が最大になる地域に高齢者人口が多いというわけです。これらを考慮した世代格差の正確な数字は出ませんが、人口の単純比較で1.2倍、地域格差で2倍や5倍、投票総数で2倍にもなるので、世代格差は地方格差も内包した、より深刻な格差だと言えるでしょう

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おわりに

では、我々は何をすべきでしょうか。まずは投票に行くこと。投票総数の格差を少しでも減らさなければなりません。現状できるのはこのくらいでしょうが、我々は同時に時代に即した選挙システムを作ることも求めなければなりません。現在は一人一票の原則がありますが、同じ少子高齢化を抱えるドイツでは親が子供の選挙権を行使できるようにすべきかどうかなどの議論がなされています。

私自身も一人一票の原則は時代に即さないと思っています。というのも同世代は社会保障などの利害が概ね一致しているため、投票総数がそのまま高齢者優遇の政治結果に反映されてしまうからです。若者に2票与えるなども考えましたが。憲法の定める個人の平等に反するため実現は難しいでしょう。ただし、個人を重視するパラダイムを改めて見直し、世代という視点を持ち込み議論することは重要なことではないでしょうか。

知らないうちにシルバー民主主義に押しつぶされ、干からびた日本を渡されて逃げ切られても困りますからね(笑)。

Y.I.

Y.I.

投稿者の過去記事

早稲田大学政治経済学部政治学科所属 古典と呼ばれる本を読みつつ政治について勉強中。思ったことは言いたくなる性質。大切にしたい言葉はルクセンブルクさんの「自由とはつねに、思想を異にする者のための自由である」

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