イスラエル大使館がソニーミュージック様と対談するらしいから、いっそ論点厨になってみる。

欅坂46の衣装 ナチス軍服酷似でユダヤ系団体が抗議

 

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という見出しを、11月1日のNHK NEWS WEBで見た。その時まで知る由もなかったが、先月に横浜で開催されたハロウィンイベントで、欅坂46というアイドルグループが、「ナチスの軍服を想起させるような」衣装でパフォーマンスを行い、それに対し、サイモン・ウィーゼンタール・センターというアメリカのユダヤ系人権団体が抗議をしているという。

概要は以上で十分だと思う。前掲のリンクの中では、もう少し詳しい事情が描かれているけれど、いろいろな「?」の部分を抜いた、いわゆる概要の部分は、本当に以上のことで十分だと思う。しかしながら、この「?」という部分が、どうやったって重要だ。初めてのイエルサレム滞在というタイミングでこんな記事をホテルで書いていることが少し悲しいけれど、そんな個人的な事情は打ち消されてしまうくらい、この「?」という部分は重要だ。なぜならそれが論点だからだ。

 

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・どうして、彼らは怒ったのか、また、なぜ怒らなければならなかったのか?
・どうして、彼らは悲しんだのか、また、なぜ悲しみを表明しなくてはならなかったのか?
・なぜ、「ナチスの軍服を想起させられるような」衣装だと言えるのか?
・なぜ、「ナチスの軍服を想起させられるような」衣装であるとダメなのか?
・もし、そんな衣装であるのなら、どうして、そんな衣装が出来上がったのか?

・なにが、大使館に各種のSNSアカウントから、このような発信をさせたのか?

 

今回のことの論点は、以上に並べてあるくらいのものだと思う。他にあったとしても、ちょっとした言い換えなのではないかと思う。または、他の論点を持ち込んでくる人がいたとしても、「それは重要な話だけど、今回の論点ではないかもしれない」と思って欲しい。場に対して違和感のある論点を除外することは大切だし、場に適した論点を携えることは、やっぱりすごい大切だからそうして欲しい。それで、違和感のある論点を省いていって、最後に残った適切な論点の答えに当たるものを、当事者を含めてみんなで探していかなきゃならない。

でもぶっちゃけると、その答えなんてものは、基本的に分かるものじゃない。今回の場合なんて、人がどうして怒ったり悲しんだりするかなんぞ、当の本人にしか分からないものだし、デザインの類似性だなんだって、オリンピックロゴとかでこりごりだ。でも、まあ、「基本的に分からない」というスタンスは大切だ。急進化しないから。

 

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だらだらとした導入になってしまったけれど、やっとこさ、この記事の目的を明らかにしておく。それは、来る「イスラエル大使館とソニーミュージック様の対談」に備えて、「論点の嵐」に慣れておくことだ。「論点の嵐」ってなんだよってのはすぐに分かるし、対談が終われば「論点の嵐」が酷くなっていることが分かると思う。この記事はこれ以降、前掲の駐日イスラエル大使館による投稿や、関係あるネットニュースに寄せられた、幾つもの”論点”を並び立てるだけになる。この件に方方から寄せられた幾百のコメントから、そこに見い出される”論点”を可能な限り抽出して並び立てただけのものになる。ちなみに論点とは、色んな形をしているかもしれないが、議論の中心となる問題点のことを言う。

 

 

 

 

なぜ、日本とヨーロッパでこれほどに、ナチスに対する感じ方に関して開きがあるのか?

昨今の日本文化は、異文化の宗教・習俗を猿真似しているだけではないか?

原子爆弾の製造に加担したユダヤ人こそが、原爆資料館に行くべきではないのか?

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責任があるのは少女たちではなく、デザイナーやプロデューサーなのではないか?

イスラエル政府によるガザ地区での虐殺と迫害を棚に上げていないか?

なぜ日本人はこんなにも国際感覚が欠如しているのか?

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少女たちにホロコーストのおぞましい記録を半強制的に見せつけることは許されるのか?

ことを騒ぎ立てた日本の過激派人権団体に同調するようなことが、一国の大使館に許されるのか?

今回の一方的な抗議と押し付けの根底には、黄色人種である日本人に対する差別感情があるのではないか?

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両国の良好な関係を揺るがすような発信を、大使館がしていいのか?

ガザ地区という人口密集地帯での白リン爆弾の使用こそ非人道的でないか?

イスラエルに建国の正当性はあるのか?

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アイドルがNOと言えない縦社会が芸能界にあるのではないか?

表現の自由に対する侵害ではないのか?

はたして欅坂46は社会的な影響力のある集団であると言えるのか?

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ユダヤ人への差別感情を加速させているのは、そのような強行的な姿勢なのではないか?

具体的に何をもって、表現の自由に対抗しているのか?

アフリカが「許し」によって世紀を進めた一方で、ユダヤの「許し」はいつやって来るのか?

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答え合わせというわけではないけれど、恐らく今後、大使館側の意図や思いが明らかになる。そこには当然、彼らの思う論点があるだろうし、それに対しても当然、いろいろな論点が投げかけられる。これほど分かりやすい「論点の嵐」が吹き荒れることは、あまりない。どうしてかユダヤの歴史が絡むと、論点が吹き荒れる。

例えば、彼らは、尊厳など名ばかりもなく殺された同胞を思い返して、悲しみと怒りに震えていて、もしかするとそれが彼らなりの”論点”だったのかもしれないし、ひょっとすると、いかにして人種差別と全体主義という負の遺産の復活を防止するかということに、正義心を燃やしながら腐心していたのかもしれない。なんにせよ今は分からない。

人間感情だけが今回のことの本質だとは思っていないが、たまに、人間の感情を政治的に正しく取り扱ったり、それによって、怒りや悲しみに正しく政治的に対処するなんてことは、そもそも無理なのかもしれないと思ったりする。それでも論点は、正しく選ばれなきゃだめだ。

芦澤良太

芦澤良太

投稿者の過去記事

京都大学法学部の4回生で、2017年の夏までイスラエルに派遣留学中。もちろんSeiZeeによる派遣ではなく学部によるもの。場所が場所だけに、政治と宗教に関するアンテナは強制アクメ状態であるものの、経済も含め幅広く書いていきたい(書けるものなら)。

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