LGBTの見える化に向けて~私が選ぶ今年の3大ニュース~【菅野陽希】

今年は日本において少しずつLGBT(性的マイノリティ)の動きがみられた年だと感じています。・・・と言っても「LGBT(性的マイノリティ)ってなに?」という方も少なくないと思いますので、そこから説明したいと思います。

LGBT(性的マイノリティ)とは?
L:レズビアン(女性に惹かれる女性)、G:ゲイ(男性に惹かれる男性)、B:バイ・セクシャル(両性愛者)、T:トランスジェンダー(性同一性障害)の頭文字を取った総称であり、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)を指す。個々人のセクシャリティは、①身体の性、②心の性、③好きになる性の組み合わせでできているので、実際には明確に分類できないほど多様性がある。

どれくらいいるの?
電通ダイバーシティラボの2015年の調査では7.6%、岩手県の「高校生の生と性に関する調査」では10.1%がLGBT(性的マイノリティ)であるという結果が出ています。多くて10~20人に1人という数字は、隣にいる人が実はLGBTだと言ってもおかしくないということを示しています。「え?嘘だ!私見たことない!」という方。当事者はいないのではなく、見えない、言えないのです。

さて、そのLGBT(性的マイノリティ)に関する動きが日本でも遅ればせながら、少しずつみられてきています。今年のLGBTの3大ニュースをお届けします。

3位 文部科学省から性同一性障害の児童生徒への対応について通知が出される。

性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について

平成27年4月30日に文部科学省から各学校に通知として出されています。文科省が2013年に初めて実施した全国調査によると、自身の身体の性別に違和感を訴える小中高生は少なくとも606人いました。近年の対応例をまとめたものが、この通知になるようです。

この通知の大きな前進としては、文部科学省が初めて性的少数者への配慮を明文化したことです。しかし、課題は山積みです。大きく3点。

① 性同一性障害以外の性的少数者への配慮がほとんど書かれていない。
上述したように、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー以外にも様々な性のあり方があります。しかし、この通知はトランスジェンダーの中の性同一性障害のみへの対応に留まっています。「性的マイノリティ」とされる児童生徒、という言葉で広く表現されていますが、あくまでも性同一性障害が主に考えられているようです。通知を出した文部科学省としても、性的少数者への理解がなされていないのではないか?と疑問を感じます。

② 「生徒指導提要」と矛盾している。
生徒指導提要とは、学校教育の中で生徒指導の指針とするものです。その第3章で「性同一性の発達」「性役割の発達」について明記されています。

この内容を端的に言うと、「人間は男女の2つであり、その性役割に適応したほうが生きやすい」ということを言っているわけです。つまり、まったく性的マイノリティの存在を認識していない表現となっています。この生徒指導提要がしっかり頭に入っている現場の先生方は、この通知を見て混乱する可能性が高いですね。

③ 現場の教員にこの通知が浸透していない。
これはこの通知に限ったことではありませんが、現場にいてこの通知を認識している先生ってほとんどいないのではないか?と現場にいて感じます。まったく話にものぼりません。そのぐらい、現場は多忙化しており通知の文書も多く、児童生徒の一生を変えるかもしれない大事な通知を認識できていないのです。

2位 マイナンバー制度始まる。
ん?これがどうしてLGBT?と思われるかもしれませんが、これは大問題なのです。

マイナンバーカードには「性別欄」がばっちり明記されています。LGBTの当事者の中で特にT(トランスジェンダー)の方の中には、戸籍の性別と異なる性別で働き生活している例が少なくありません。このマイナンバーカードに性別欄があることで、失職する可能性をはじめとした多くの危機感が当事者を襲っています。「失職したら自殺しかない・・・。」と考えている当事者もいるようです。性別欄のたった一文字が人を殺すかもしれないのです。あなたはそれをどう考えますか?

1位 渋谷区で同性パートナーシップ条例制定。
ここでやっと聞いたことがある話題が来た!という方も多いのではないでしょうか。
渋谷区が先陣を切ってこの条例を制定し、他の自治体でも検討されるようになりました。渋谷区のパートナーシップ条例による具体的なメリットは以下のようになります。

1.区内の賃貸住宅への入居
2.区内の医療機関での対応(面会、医療同意)
3.区内の職場での対応(家族手当、慶弔休暇など)

自治体のできる範囲のことなので、これだけと言えばこれだけなのですが、自治体が動いたということが、わずかながらでも確実な一歩と言えると思います。しかし、異性間の結婚のような法的な力はありません。この流れが全国の自治体で広がり、日本での同性婚へ結びつくための足掛かりとしていけたらいいですね。

いかがでしたでしょうか?2016年も日本を多様な人々が生きやすい社会へ、少しずつでも進めていきたいですね。

菅野 陽希

菅野 陽希【教育・LGBT・政治】

投稿者の過去記事

女子で生まれた男性教諭(特別支援学校)の日々の考察。「LGBT」「教育」ネタを中心に、政治のことも勉強中。好きな自分で生きられる社会、誰も排除されない社会、多様な個が共存できる社会に近付けるためにはどうすればいいか?皆さん一緒に考えていきましょう。

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