世界が変わりつつあることを感じさせる動物問題【sprout】

こんにちは!

アドベントカレンダー企画15日目に書かせていただきます、Sproutです。

アメリカやスペイン、ベルギーで動物法の研究やインターンをしてきて、現在は日本で大学院生をしております。

 

これまで「ふつう」だった動物を取り巻く環境、扱い方に、疑問を持つ人が増えてきた。

もしくは、多くの人に触れなかった「業界のふつう」が一般の人の目に触れたとき、「それはおかしい!」と声を発する人が出てきた。

そんなムーブメントに興味があります。

そんなこんなで、動物問題は今年も世界を賑わせました。

以下、その中から独断と偏見で3大ニュースを選ばせていただきました!

 

第3位

カルフォルニア水族館におけるシャチの繁殖禁止

 

水族館のイルカやシャチのショーが好きな人は多いと思いますが、そのシャチのショーがほんとうに許されることなのか、批判の的になっているのをご存知でしょうか?

http://www.sandiegouniontribune.com/news/2015/nov/09/seaworld-san-diego-phase-out-killer-whale-show/

http://www.sandiegouniontribune.com/news/2015/nov/09/seaworld-san-diego-phase-out-killer-whale-show/

 

きっかけは、サンディエゴにあるSea World(アメリカ最大規模の水族館経営会社のひとつ)でショーの途中にベテランの女性トレーナーがシャチに殺された事件。

この事件や、その背景として水族館でシャチがおかれている環境を伝えるドキュメンタリー映画、「Blackfish」(2013)がアメリカで有名になりました。

この事件は突発的なものではなく、もっと根本的な問題が露呈されたのではないか、と映画は投げかけます。

たとえば、演技の訓練の際の連帯責任ペナルティー(1頭失敗すれば全頭ご褒美をもらえない)によって起こるシャチ同士の攻撃。

また、シャチの体の大きさや運動量と比べて極端に小さい水槽。

飼育環境では、どんなケアや水槽を用意したとしても、大型野生動物であるシャチの慢性的なストレス、やり場のない不満を作り出す。

事件が社会問題になった結果、アメリカの所々にあるSea Worldの訪問者は減り、株価も落ち、サンティエゴでは2017年以降は芸をさせるスタイルから、より野生に近い行動をみせるショーにしてゆくと公表しました。

 

また、カリフォルニアでは、水族館は1億円かけてシャチの水槽を大きくする許可を得たものの、今後シャチを繁殖すること、販売や移動、野生からの捕獲をすることを禁止されました。

つまりカリフォルニアでは、今すでにいるシャチが、飼育環境にある最後のシャチになります。

 

一日130~160km泳いで移動するシャチが小さい水槽に一生いるというのはストレスと慢性的な運動不足をもたらし、世界最大級の水槽でも、野生の行動範囲と比較すると0.0001%の大きさでしかない。

そのことをある研究者から聞いた時、私は驚愕しました。

あたりまえに楽しんでいた水族館のショー。動物も楽しんでいるかのように見えたショーの裏側を知った今、狭い環境で大型動物を保有することの正当性に疑問….。

考えさせられた事件でした。

 

第2位

アザラシの赤ちゃんの毛皮、EUではもう買えない

 

動物福祉の分野で常に世界をリードしているEUの、今年一番のニュースはこれ。

EUのアザラシ製品禁輸、欧州司法裁判所がその合法性を確定。

 

商業目的のアザラシ猟が残虐だとして、EUは2009年にアザラシ製品をEUに輸入することを禁止する規則を制定。なお、イヌイットやその他の先住民共同体は適用除外としています。

各方面から抗議を受けていたこの法律が、問題がない法律だと確定したのです。

http://www.hsi.org/world/europe/news/releases/2015/09/european-court-of-justice-rejects-commercial-sealing-appeal-090315.html

http://www.hsi.org/world/europe/news/releases/2015/09/european-court-of-justice-rejects-commercial-sealing-appeal-090315.html

 

そもそもなぜEUはアザラシ製品の輸入を禁止したのでしょうか?

 

カナダの商業アザラシ猟で殺されるアザラシの約97~98%が生後2週間〜3ヶ月という赤ちゃん。

より多くの毛皮を少ない時間で得るために、商業アザラシ猟はものすごいスピードで行われ、時には2日で15万頭のアザラシが殺されることもあるようです。

猟の方法としては、動いている船の上からアザラシを撃つ、もしくは先が鋭利な棒などで刺され、自分の血で窒息死することもあるそう。

 

こうした猟を、「人道的」に行うことは不可能であるとして、EUでは禁輸に踏み切ったのです。

今では、アメリカ、ロシア、アルメニア、台湾など35カ国がアザラシ製品を完全もしくは部分的に禁止しています。日本でも、消費者として、リアルファーかチェックして買う、など、できることはあるかもしれませんね。

 

第1位

アメリカの歯医者が人気者のライオンを撃ち殺し、社会問題化

 

百獣の王ライオンを追いかけるスリルを味わったあと、亡骸を横に満面の笑み。そんなお金持ちのお遊びが、残酷だといって注目を浴びました。

 

世界のお金持ちの間ではアフリカの大型野生動物を撃ち殺して遊ぶゲームハントがあるのをご存知でしょうか。

 

大金をつぎこんで、アフリカの大型野生動物を追いつめて、殺して楽しむ。そうしたゲームの主催者は、野生動物保護のためにはお金が必要だから、多額のゲーム費をはらってくれる観光客の存在は必要だといいます。

 

しかし、ジンバブエ国立公園で人気者だったライオン「セシル」が殺された事件を受けて、世界中でセシルが注目され、アメリカでは関連する法制定にまでつながりました。

 

http://www.timeslive.co.za/thetimes/2015/08/04/Hunting-ban-would-kill-more-than-Cecil-the-Lion

http://www.timeslive.co.za/thetimes/2015/08/04/Hunting-ban-would-kill-more-than-Cecil-the-Lion

矢で撃たれたあと、約40時間追いかけまわされ、最終的にライフルで撃たれ、首を切り落とされたセシル。

 

パーマー氏はライオンを射殺するために約680万円の許可料を支払っていたためジンバブエ政府はパーマー氏を訴追しないと決断しましたが、アメリカでセシルの悲劇に対する過剰なまでの批判は止みません。そこで、11月にはGlobal Anti-Poaching Act (世界密猟反対法)がアメリカで可決され、大型野生動物をゲームハントの戦利品をアメリカに持ち帰ることを禁止する法案が審議されています。

 

この社会問題化現象に対して、弁護士をしているアメリカの友人の、Facebook の発言は興味深くありました。

「この子だってセシルよ」といって、セシルの写真と豚の写真を並べ、日々わたしたちは食肉にするために豚を閉じ込め、尾や歯を麻酔なしで切断し、ただ退屈に太らせて、最終的に首を切り落としている事実を説明。

 

日本にもいえることですが、注目されたらものすごい勢いでシンボルとなった動物を擁護する世論は、往々にして、普段の残酷な行いには無関心だよねぇと考えさせられました。

 

 

以上っ Sproutが選ぶ3大ニュースでした!

 

クリスマスなのに…アドベントなのに…暗い話題が多かったかな

と書き終わってあわあわしていますが、

個人的には、紹介したニュースは動物問題が世界で注目を受けた成功例だと思っています。

 

動物とのつき合い方は人、コミュニティー、国による。

けど、たとえば毛皮商品にしても水族館のショーにしても、

色々知った上で、商品やサービスを受け取る人が納得して利用できるような社会になってゆけば、と思うのです。

 

そんな願いを携えつつ、来年も周りの大切な人と一度きりの時を笑顔で過ごしたいです。

メリークリスマス、そして良いお年を♪

 

 

参照資料:

The Guardian, California bans captive breeding of SeaWorld killer whales (2015.10.09)

http://www.theguardian.com/environment/2015/oct/09/california-bans-captive-breeding-of-seaworld-killer-whales

Lori Weisberg and Jennifer Van Grove, SeaWorld to end theatrical killer whale show, (2015.11.09)

http://www.sandiegouniontribune.com/news/2015/nov/09/seaworld-san-diego-phase-out-killer-whale-show/

IFAW (International Fund for Animal Welfare), EUのアザラシ製品禁輸、欧州議会はWTO協定の順守を確実にするための最終段階へ, (2015.09.08)

ベルギー、ブリュッセル

IFAW, Why commericial sealing is cruel, (last viewed on December 11, 2015)

http://www.ifaw.org/canada/our-work/seals/why-commercial-sealing-cruel

Humane Society International/Europe, Humane Society International/Canada, European Court of Justice Dismisses Final Sealing Industry Appeal in Case Seeking to Annul the EU Ban on Trade in Seal Products, (2015.09.03)

http://www.hsi.org/world/europe/news/releases/2015/09/european-court-of-justice-rejects-commercial-sealing-appeal-090315.html

Tim Devaney, House passes anti-poaching bill inspired by Cecil the lion, The Hill, (2015.11.03)

http://thehill.com/regulation/energy-environment/258968-house-passes-anti-poaching-bill-inspired-by-cecil-the-lion

産経ニュース, ジンバブエで人気ライオン射殺 狩猟ツアーの米歯科医がボーガンで 許可料680万円 動物愛護団体非難, (2015.8.2)

http://www.sankei.com/world/news/150802/wor1508020031-n1.html

Sprout

Sprout【人と動物の関係・動物法・動物福祉・ノンバイオレンス・環境法・文化】

投稿者の過去記事

動物法を研究しています。
普段ほとんどの人が疑問に思わない、けど考え始めたらちょっとおかしいかもしれない、人と動物との関係について書かせていただければと思います。
読んだあと動物問題を少し身近に感じて、何かを感じていただけましたら幸いです。

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