【新成人企画】就活の負け組文系学生に捧ぐ


みなさん、こんにちは。SeiZeeライターの斉藤です。実は新成人です。そのため、新成人企画へ参加することになりましたが、もしFacebookに成人式の投稿をしなければ、編集部さえ気づかなかったようで、この企画はわたくしには回ってこなかった模様…複雑な気分です。

 

今回の新成人企画は、これから就職していく上で必要な現状分析とどのような未来への展望を構築し臨むべきかを記す企画と理解しております。が、あまり気にするつもりはありません。

 

A.就活って…

COMICOの『ReLIFE』で描かれる海崎さんが遭遇した不幸。他にも『宇宙兄弟』でのムッタの頭突きによる失職。加えて「3年も続かなかったやつは、今後転職しようにもつかいものにならんよ」という定型的脅し文句…どれもこれもため息しか出ない。そんな会社に行く必要って…? と感じてしまいます。

 

 

とりわけ大学生は卒業年度になると就職先が決まるまで、勉強よりも就職活動に専心するようになります。私は、学部の2年ですから、先輩方の就職活動の様子を2年にわたり見てきました。その中にはもちろん苦戦している人もいましたが、すんなりこなした人もいました。なんなく突破した先輩方は面白い人が多かったかなぁ。先の例やその先輩方を見ていると、私はふと尾崎豊の「Bow!」という曲を思い出します。

Bow!   ー作詞作曲:尾崎豊

否が応でも社会に飲み込まれてしまうものさ

若さにまかせ 挑んでくドンキホーテ達は

世の中のモラルをひとつ 飲みこんだだけで

ひとつ崩れ ひとつ崩れ すべて壊れてしまうものなのさ

 

あいつは言っていたね サラリーマンにはなりたかねぇ

朝夕のラッシュアワー 酒びたりの中年達

ちっぽけな金にしがみつき ぶらさがってるだけじゃ NO NO

救われない これが俺達の明日ならば

 

B.どうしようか、就活

そんな風に感じている私は正直就活なんてしたくない。でも、「否が応でも社会に飲み込まれてしまう」もので、せざるを得ない現実はあるし、差し迫るその日に半ば恐々としながらも現実として就活と向き合おうとしつつあります。さらに悪いことに、私は文系の学生です。つまり、理系重用の社会で闘えるのか、と不安です。しかし、その戦略と戦術を間違えなければ、文系であれ理系であれ、闘えるはずです。もし本当に企業が優秀な人を採用したいならば。

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C.文系? 心配ないでしょ

文系学問、とりわけ人文科学系は無意味・無価値だと言われることが多い。否定はしない。というのも、テクノロジーの進化めまぐるしい喧騒の日々には、哲学や文学のように情熱が胎動しながら「静」を求める文化の研究は金銭的価値の創造に適していないからです。さて、おそらくこの一文で「出たよ文系、意味わからん言葉遣い」となるわけです。文系学生に圧倒的に足りていないもの教えましょうか?

 

それは、ロジックを組む力です。つまり論理構成力。文系学生でロジックを組めないにも関わらずそれっぽい言い回しを使う人がいます。それでは伝わりません。文系にとっては意識して養成しなければ、身につけるのが難しいかもしれません。ところがうらやましいことに、理系学生は惚けることなく学べば自然と論理構成力が身につきます。ここに理系と文系の決定的な差を感じています。

実のところ、、私が大学で授業を受けていると論理破綻のオンパレードな授業があります。ロジックの世界で生きているはずの学者でさえも身につけていない人がいるのです。私はそういった授業は迷いなく切ります。それこそ無駄です。そんな文系学者の下で学んでも、論理構成力がつくとは思えませんからね。

 

D.ここで気をつけて

ここで一点確認しなければならないことがあります。ひょっとしたら、こういう記述を読むと、「よし、ロジカルロジカル」「ロジック組んだから正しい」と勘違いすることがあるかもしれません。この「ロジックの罠」に陥れば就活以前に失敗します。「ロジックが正しければ、事実レベルでも正しい」と考えることは間違いです。

 

アベノミクスも、アベノミクスを批判する主張も論理的に構築された理論レベルでは正しいです。つまり、この時点で、論理的に正しいものが二つあります。このいずれかを絶対的に正しいと考えるのは誤りです。アベノミクスつまりリフレーション政策が適用されればうまく行く時節・社会状況と、うまくいかないタイミング・コンディションがあるのです。もし、万が一、考えたくないですが、アベノミクスが日本の経済の立て直しに失敗したとしましょう。しかしそれはリフレーション理論が間違っていたと断定する確たる証拠にはならないのです。だってほらみんな好きじゃん? 「失敗は成功の母」って言葉。時期が間違っていたのかもしれない。もし3年3ヶ月早ければ成功したかもしれない、そんなことはわからないのです。ちょっと独立変数を間違えただけかもしれない、そんなもんなのです。

 

 

E.なんで採用の担当が人間なのか考えれば分かるでしょ

学歴や成績、業績上優秀なひとはもちろん就活には有利でしょうけれども、それだけで判断されるのでしょうか。明白なことですが、それならば全て数字で測れば事足ります。TOEICの点数や、出身校の偏差値、インターンやアルバイト経験などを数字にまとめて、処理すれば客観的基準として採用・不採用は弾き出せます。ともすると、数値判断をして、ロジックだけチェックすればいいかもしれません。しかし、実際的に企業はー技術革新著しい今日にー「面接」という一見非効率な選考過程を設けている。つまり、ロジックや数値レベルの基準だけで判断するわけではないということです。もっと言えば、客観的評価の基準としての数値や業績も大事ですが、人事の担当は「面接」という過程で主観的判断の基準も大切にしているということです。そこで勝つにはどうすればいいのでしょうか?

 

F.文系、何で勝つ? 教養でしょ。

うん。「文系学生、教養で戦おう。」と呼びかけるとすぐに日本では雑学事典が飛び出してくる。浅い。そんなの教養じゃない。日本では「教養=知識」という図式ができており、「博学=教養がある」と見做されることが多い。あくまで個人的な考えですが、教養というのは「その人を彩り、芳香で包み込む何か」です。たくさんのことを知っているのも大事かもしれませんが、感覚的なモノがこの上なく重要です。その点、SeiZee編集長は「教養」を感じさせる面があります。ところが、たまに何を言っているかわからない面もあります。これは…まあ、おもしろいっすね。

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G.「彩り、芳香で包み込む何か」?

教養を定義しましたが、なんのこっちゃ分かりませんね。教養ってそんなものではないでしょうか。ある程度の知識は前提になりますが、小説を読んだり、作品芸術に触れたり、音楽芸術に触れたりし、感性を鍛えることがまず第一歩です。文系学生は、理系学生よりも実験などの時間がない分、あるいは先述の通り、微妙な授業を受ける機会が多い分、文化・芸術に触れられるはずです。そして、その中から知識だけでなく、雰囲気を吸収してもらいたいと感じています。

プラート・デッラ・ヴァッレ https://en.wikipedia.org/wiki/Prato_della_Valle より

プラート・デッラ・ヴァッレ
https://en.wikipedia.org/wiki/Prato_della_Valle より

あくまで例ですが、イタリアに行ったらヴェネツィアやフィレンツェだけでなく、ヴィチェンツァやパドヴァに足を伸ばし写真をたくさん撮ってー自分の中に風景を保存できれば写真でなくともいいでしょうけどー、なんとなくの差を肌で感じてもらいたいのです。そして、歴史をもう一度紐解き、「あーこれがゴシックか」「おーロマネスク」「ルネッサーンス!」と。ここにギリシアなるもの、ヨーロッパなるもの、キリスト教文化とイスラム教文化の交流を見て取り、さらにインドの叡智の影響まで思考し、と。

H.教養に関してまとめ

なんのこっちゃ分からない話をしているように思えたでしょう。実は、以前トルコのボアズィチ大学の学生と話す機会がありました。夜通し酒を飲みながら飽きもせず話をしました。彼らと話して感じたことを書けば納得していただけると思います。

 

私のメジャーに関する話を彼らとその時にしたのですが、彼らの専門は語源学であるにも関わらず、どんな話題でも議論ができました。「なんでそんなことまで知ってるの?」と聞くと、”Culture”という答えが返ってきたのです。確かに、トルコはギリシアの東に位置し、また初期キリスト教が出発した地であることを鑑みれば、そういったことを知っている、考えていることが”culture”だと言うことは自然かもしれません。

 

そして、その夜以来彼らはいくつもの”cultural”なレトリックで私を愉しませてくれるようになります。哲学の授業後に”Are you beyond good and evil?”*1とか、飲みながら”He said ‘alcohol is good’, but you almost lose your reason.”*2とか。こういうちょっとした発言の端に感じられるものが教養ではないでしょうか。

ニーチェ(wikipediaより)

ニーチェ(wikipediaより)

 

このようなウィットに富んだフとしたところから教養は顔をのぞかせるものだと、感じます。「雑学豊富=教養ある」は日本標準だなぁ。

 

I.全体まとめ

さて、就活から大分脱線したように思えますが、まとめると次の二点に集約されます。1)ロジカル・シンキングをできるようにして、例え自分のフィールドでなくとも考えられる力をつけ、加えて2)自らを豊饒で鮮やかに包み込んでくれる教養をつけましょうということです。私自身、思考レベルも知識レベルも感性もまだまだひよっこなため、これからも研鑽の日々ですけれども、この1と2を満たしたら就活で負けることなどないと確信しています。つまり、負け組になどなりません。あ、もちろん皆さん、私は就活で成功したことないので必ず疑ってください。

最後に、尾崎豊の「Bow!」の続きを書いておきます。

午後4時の工場のサイレンが鳴る

心の中の狼が叫ぶよ

鉄を喰え 飢えた狼よ

死んでもブタには 喰いつくな

 

夢を語って過ごした夜が明けると

逃げ出せない渦が 日の出と共にやってくる

中卒・高卒・中退 学歴がやけに目につく

愛よりも夢よりも 金で買える自由が欲しいのかい

 

午後4時の工場のサイレンが鳴る

心の中の狼が叫ぶよ

鉄を喰え 飢えた狼よ

死んでもブタには 喰いつくな

鉄を喰え 飢えた狼よ

死んでもブタには 喰いつくな

 

*1ニーチェの”Beyond good and evil”『善悪の彼岸』から。

*2″He”はカントを指す。カントは「酒は口を軽快にする。だが、酒はさらに心を打ち明けさせる。こうして酒は道徳的性質、つまり心の素直さを運ぶ物質である」と言った。その一方で、「理性」(reason)が何より大切だと言っている。酒を飲んだ私たちが、「カントが良いと言った酒が、俺らの理性をふっとばしそうだぜ」と。おもしろくない? あ、そうでもない? 笑

しかもカントってやつは人付き合いを全然しなかったことで有名。誰が言うとんねん、って。おもしろくない? …いやもういいです、はい。

斉藤亮太【思想・哲学・宗教、政治、文化】

投稿者の過去記事

私に「社会不適合者だ!」と言ってくる人がいますが、それならば社会が私に合わせればいい。え? 合わせられない? そんなに能力低い社会なら変えないとねぇ。
座右の銘「まず疑ってかかるのが科学です」ー

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