あなたはいつまで「人間」でいられるか

  • みなさんは「ロボットが働く」と聞いてどんなことをイメージしますか。

     

    「これから未来では本当にロボットが人間より働く頃が来るのかなぁ」

    なんてのんきなことを言っている場合ではもはやなく、 Amazonの倉庫筆頭に、既に人間はロボットに取って代わられつつあります。

    Amazon

    人なしでロボットが走ります。やばくないっすか。

     

    ロボットによっては、今や一台200万円前後で購入したら、数年以上工場でおとなしく、正確に仕事をし続けてくれるのです。

    年収400万円は欲しがる人間様より、ずっとお得ですね。

    この流れはとどまるところを知らず、

    現在行われている産業ロボットへの投資額がざっくり一千億円に対して、

    10年後には五~百倍まで拡大して数兆円規模になるんだとか。

    これって、今の日本の鉄道事業の市場規模(6.6兆円)を越してしまう見込みすらあるってことです。ひょえー。

     

    こんなに拡大していくと、あなたが今なりたいと思ってる仕事も、

    10年後にはロボットが全部やります、なんてことにならないでしょうか。

    ないとは誰にも言えないでしょう。

     

    それでも、日本で初めてGoogleにバイアウトされたロボット企業を作った加藤崇さんは

    ロボットではまだ代替できそうにない人間の力があるといいます。

    それが

    認識と操作…人間国宝の技術とか、動きにくい場所での作業とか、柔軟、繊細な動き

    創造的知性…芸術とか、感受性や創造性が求められること

    社会的知性…介護、説得、交渉など他人への気遣いや「機転」が求められること

    と呼ばれる3つの力なんだとか。

    robo1( 作:Kalexanderson )

    ただし、この「人間の力」も、あくまで今の段階では開発に時間がかかりそうというだけに過ぎません。

    この力もロボットが持てるようになったその時にこそ、「人間とは何か」が見えるのかも、なんて妄想がふくらんだ時、
    嫌な考えが胸をよぎりました。

     

    ロボットが働くことが常識になった社会でくくられる「人間」の範囲って、

    果たして今と同じだって言い切れるのでしょうか。

     

    ロボットとの対比で明らかとなった「人間らしさ」を持ち合わせていないヒト

    ロボットによる労働の対価を得られず、自分をロボット以下の待遇で売らなければ生きていけないヒト

    そんな立場の人がいた時、彼らは「人間」でいられるのか。

     

    「人間」を助けるロボットが当たり前になった時、ロボットの助ける対象とはならない、「人間」ではない人って、いてもおかしくないのではないか。

     

    西ヨーロッパとアメリカを中心とする国々は、人権憲章や国際人権条約を作るとき、いつも最初に「これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、」という文言を入れています。

    一方で「なぜ人間であるからこその尊厳があるのか」という問に対して絶対的な答えを示した人はいませんでした。哲学者たちが議論することは有りますが、それは万有引力ほどの客観性を有してはおらず、そもそも一つの答えに収束してすらいません。

     

    それなのになぜ、西洋人がこんな言葉をわざわざ入れたのかというと、

    ヒトは「市民」かどうかではなく、「人間」であるから尊いんだということを彼らが歴史から学んだからです。

    かつてヨーロッパでは市民の普遍的で平等な権利を称えることと、女性に政治参加を認めず、アフリカ人を輸出産品として扱うことは両立して当たり前でした。

    アフリカ人も女性も「市民」ではなかったからです。

    彼らは二度もの世界大戦と、被差別者による『差別との戦い』を経て初めて「同じ人間なら同じだけの権利を認めたほうが良いのだ、「市民」というのは恣意的なくくりだったんだ」と思い直したからこそ、国際社会に対しては「人間固有の尊厳」とアピールしたんですね。

     

    そして今、私たちは、生物学的な「ヒト」とその子どもは皆「人間」で、同じ立場だと建前上は教えられています。

    でも、この考えが普遍的だなんて、誰が決めたんでしょうか。

    「市民」も「人間」も、実際は明確に分けることができるようなものではない以上、

    「大切な権利が守られる立場=市民」の範囲が歴史とともに広がったのと同じように

    「人間」の範囲もまた、未来で変わる可能性だってあると私は思っています。

     

    もし、かつてのギリシャポリスの「市民」がそうであったように

    ロボットのおかげで「働かない」「働かなくて良い」身分のヒトだけが「人間」だっていうことになったりしたら…

     

    ちょっとぞくっとしませんか。

Y

Y【文化, 社会もしかすると政治・法】

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いろんな意味で境界上にいます。私の切り取った世界の一部が誰かの気づきや救いのきっかけになればいいなと思っています。
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